『アンサング・シンデレラ』井之脇海がたどり着いた答え 医者と薬剤師、親と子の確執が交差

『アンサング・シンデレラ』井之脇海の答え

 今話のキーパーソンとなった龍之介を演じたのは若手俳優の井之脇海だ。きちんと切りそろえた髪に眼鏡姿、明るく薬剤部のことを説明する羽倉龍之介を独特なテンションで演じる。さらに、薬剤部のマスコットキャラクターのような存在だった龍之介を第4話で深掘りすることで、井之脇がより深く龍之介のキャラクターを表現していたことを知ることとなる。

 井之脇は子役時代からキャリアを積み、時代劇から学生役を経て、23歳のときには『集団左遷!!』(TBS系)で若いながらもサラリーマン役を演じきっており、多種多様なキャラクターを担ってきた実績がある。どんな役でも器用に演じ分け、見るたびに違った表情を見せてくれる役者だ。2018年には『義母と娘のブルース』(TBS系)に出演、上白石萌歌演じるみゆきと恋仲になるひろき役を演じた。折しも2人はキリンビバレッジ「午後の紅茶」CMでも初々しい高校生カップルとして共演中であったことから、当時『義母と娘のブルース』での2人の姿は「ギボムスのカップルって、午後の紅茶のあの二人!?」とかなりの話題になった。

 本作では複雑な事情を抱えながらも薬剤師という仕事を全うし、さらに普段は明るく振る舞うムードメーカーという難しい役で、多くの視聴者を涙ぐませるような芝居を見せる。細かい表情から声のトーンまで、丁寧に練り上げられた芝居で、ベテラン揃いの本作でも引けを取らない芝居を見せてくれた。

 院内での地位や名誉にかかわらず、薬剤師という仕事にやりがいを見つけ努力するみどりや龍之介の姿からは、仕事に向き合う上での姿勢を学ばせてもらえるだろう。讃えられない“アンサング”な仕事など世の中にはないのではないだろうか。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:石原さとみ、西野七瀬、成田凌、桜井ユキ、井之脇海、金澤美穂、真矢ミキ、迫田孝也、池田鉄洋、でんでん、田中圭
原作:『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』荒井ママレ/医療原案:富野浩充(『月刊コミックゼノン』連載/コアミックス)
脚本:黒岩勉
プロデュース:野田悠介
演出:田中亮
制作・著作:フジテレビ第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/unsung/
公式Twitter:@unsung2020

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