川栄李奈に“元AKB48”の肩書は必要なし! 復帰作の『BG』で女優としての実力を証明

川栄李奈、『BG』で実力を証明

 和解した姉の美和(谷村美月)と恵麻が一緒に教会でピアノを弾くシーンも印象的だったが、もう一つ挙げるとすれば、任務を終えた島崎との別れの場面。身を以て“池田屋階段落ち”で襲撃から護ってくれた島崎に恵麻は心を許していく。「しつこい」と言いながら、笑みを隠せない恵麻。島崎の顔を触り、恵麻は「ハハ」と微笑む。先述したように、視覚障害者は触覚の感度が高く、恵麻は気恥ずかしそうにしている島崎の表情を読み取ったのだろう。陰鬱な表情を浮かべていた前半から、晴れやかな笑顔を見せるギャップも流石だ。2019年初頭、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)、『デザイナー 渋井直人の休日』(テレビ東京系)と出演ラッシュが続き、名実ともに女優として確固たる地位を築いた川栄。2020年、再びリスタートを切るのに、川栄にとって相応しい役柄だったのではないだろうか。

 恵麻は「全盲」であることを“武器”にしているという島崎とのやり取りに、「元AKB48」と見出しについてしまうアイドル出身という宿命を川栄も背負っていることが、少し重なって見えた。けれど、島崎の言う通りに「もう“武器”なんか必要はない」。それは川栄にも言えることだ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『BG~身辺警護人~』第2シリーズ
テレビ朝日系にて、毎週木曜日21:00〜
出演:木村拓哉、斎藤工、菜々緒、間宮祥太朗、市川実日子、勝村政信、仲村トオル、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)
脚本:井上由美子
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:川島誠史(テレビ朝日)、秋山貴人(テレビ朝日)、浜田壮瑛(テレビ朝日)、山本喜彦(MMJ)、田上リサ(MMJ)
音楽:高見優
監督:常廣丈太(テレビ朝日)、七髙剛
制作協力:MMJ
制作著作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日

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