仲間由紀恵演じる「ヤンクミ」はなぜ国民に愛された? 『ごくせん』再放送に寄せて

仲間由紀恵の「ヤンクミ」はなぜ愛された?

 ドラマ『ごくせん』(日本テレビ系)の第1シリーズが『ごくせん 2002 特別編』として、6月3日から再放送される。『TRICK』シリーズ(テレビ朝日系)と並び、仲間由紀恵主演ドラマの大成功例の一つと言える『ごくせん』。コメディからサスペンスまで幅広い作品で主演を張り、日本国民に愛され続ける仲間由紀恵の魅力を、『ごくせん』を起点に再考してみたい。

 最近の仲間は『10の秘密』(カンテレ・フジテレビ系)での謎に包まれた元妻や、『ハラスメントゲーム』(テレビ東京系)でのパワハラ問題を調査する敏腕労働Gメンを演じたりと、ミステリアスな大人の女性の役が多い傾向にある。だが、今でも彼女の代表作に挙がるのは『TRICK』と『ごくせん』という、数少ないコメディエンヌ要素が強い異色作品なのが、女優・仲間由紀恵の面白いところ。

 『ごくせん』主演は、仲間が22歳のとき。仲間が演じるのは、不良揃いの白金学院高校3年D組に新米教師として赴任する、数学教師・山口久美子(通称ヤンクミ)。新米教師でありながら、その素性は任侠集団・大江戸一家3代目・黒田龍一郎に引き取られた跡取りのお嬢……という設定で話題を呼んだ。このドラマの面白さは、水戸黄門やヒーローものなど昔から親しまれる、勧善懲悪という図式。不良生徒が問題を起こす→ピンチとなる→ヤンクミが成敗して助けるというのが主なプロットだ。

 しかし、ここまでヤンクミ役がハマった理由を考えると、『ごくせん』が放送される2年前、2000年から続く『TRICK』シリーズのマジシャン・山田奈緒子役がブレイクした理由と重なる。今も変わらず「上品で綺麗」というブレないイメージの仲間に、「ムッシュムラムラ」などギャグを真顔でやらせたり、公式に「貧乳キャラ」として阿部寛演じる上田にバカにされるなど、仲間を面白くいじっていくことで視聴者に愛されるキャラクターとして馴染んでゆく。それまでの仲間の演技には独特な非現実感があったが、それが返ってドラマのシュールな世界観と阿部寛のトボけた演技にマッチし、コメディエンヌとして開眼するきっかけとなった。

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