向井理、絶妙な立ち位置を繊細に体現 『麒麟がくる』義輝役に漂う品性と風格
義輝という人物は、実は光秀がいつも心の片隅に置いている「麒麟の話」を持ち出した男でもある。王が世の中を平和にしたときに必ず現れるという麒麟。義輝は幼いころに父から聞いて以来、麒麟がくる世の中になることを願っているのだ。光秀にとってこの「麒麟の話」は、道三の「大きな国」と通ずるものがある。「国を統治してだれもが安心して暮らせる世の中を作る」ということを指し示すふたつの話。今後の光秀の“生き方”を大きく左右するであろうエピソードなのだ。
さらに今回、光秀が強く信長を救いたいと願ったのは「我らも変わらねばならん」というかつての信長の言葉があったからこそ。光秀は麒麟がくる国を作るためには、自ら変わらんとする信長のような人間が必要だと考えたのだろう。“新しく平和な国を作るために、自分たちが変わっていく”それはこの時代に限らず、今の世の中にも当てはまる大切な教えである。
次週はついに、かつて尾張に人質として捉えられていた竹千代が成人して、松平元康(風間俊介)として今川義元の元、尾張に攻め入る。光秀と信長はこの戦をどう回避するのだろうか。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
大河ドラマ『麒麟がくる』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00〜放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00〜放送
主演:長谷川博己
作:池端俊策
語り:市川海老蔵
音楽:ジョン・グラム
制作統括:落合将、藤並英樹
プロデューサー:中野亮平
演出:大原拓、一色隆司、佐々木善春、深川貴志
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/kirin/
公式Twitter:@nhk_kirin