大泉洋はどんな役も自分色に染め上げる 『ノーサイド・ゲーム』ほか新境地を切り拓いた3作品

大泉洋の魅力が詰まった3作品

『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)

『ノーサイド・ゲーム』(c)TBS

 大泉洋が日曜劇場で初主演をした『ノーサイド・ゲーム』。映画の大泉は、ずっと「うだつのあがらない」とあらすじに書いてあるような団塊ジュニアを主に演じてきたため、スーツ姿は非常に珍しい。しかし、普段はあまりない役ながら、組織の一員として会社に翻弄され、そしてそこから組織を変えていく姿にもリアリティがあった。就職難にちゃんと会社に入社していた団塊ジュニアなら、今、こんな状況に立っているのだろう。

 大泉が演じる君嶋隼人は、自動車会社で実績をあげてきたが、社内の人事異動で工場に左遷され、同時にラグビー部・アストロズのGMを兼務することになる。経営戦略室の出身らしく当初はドライな戦略をつきつけアストロズを廃部にするつもりでいたが、次第にチームと打ち解け、共に歩みだす。会社から存在を軽視されている自分と、勝てないアストロズの姿を重ねているようだった。

 君嶋はドライな一面がありながらも、妻や工場に勤める女性社員にも頭があがらない感じがチャーミングなのも、大泉洋が演じたからこそではないだろうか。OL経験を振り返ると、こういう社員は、話しかけやすいので女性社員からも人気がありそうである。

 ドラマが始まるまでは、ドライなサラリーマン役も、ラグビーの「熱さ」とも無縁のように見えた大泉洋だが、どんな役を演じても、自分の持ち味と融合させ、結果的にはこちらも自然に受け止められるようになっている。今後はこのようなスーツを着た役も増えるのではないだろうか。

 今期から放送予定の『ハケンの品格』新シリーズでも、スーツ姿でサラリーマンを演じる大泉洋。あの大前春子とのお互いに口さがないやりとりも楽しみだ。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■放送情報
『春子の物語 ハケンの品格 2007 特別編 第三夜』
日本テレビ系にて、4月29日(水)22:00〜23:00放送
『春子の物語 ハケンの品格 2007 特別編 第四夜』
日本テレビ系にて、5月6日(水)22:00〜23:00放送
出演:篠原涼子、小泉孝太郎、大泉洋、勝地涼、上地雄輔ほか
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ

『ノーサイド・ゲーム特別編』
TBS系にて、4月26日(日)20:00~21:54(話数未定)
出演:大泉洋、松たか子、上川隆也ほか
ナレーション:大泉洋
原作:池井戸潤『ノーサイド・ゲーム』(ダイヤモンド社刊)
演出:福澤克雄、田中健太、平野俊一ほか
プロデューサー:伊與田英徳
協力プロデューサー:川嶋龍太郎
製作著作:TBS
(c)TBS

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる