『エール』“愉快な太鼓持ちキャラ”の望月歩 『ソロモンの偽証』から『3年A組』を経て注目株に

望月歩、過去出演作から『エール』で注目株に

 とはいえ望月も若手ながら、冒頭で触れたように着実にキャリアを積み上げつつある。『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』(2015年)で俳優デビューを果たし、『真田十勇士』(2016年)といったスペクタクル大作のキャストに名を連ねる一方で、2019年に公開された映画『五億円のじんせい』と『向こうの家』では主人公を演じている。ここから読み取れるのは、メジャー作品から良質なインディペンデント作品にまでうまく適応できる素養が彼にあるのはもちろんのこと、先輩たちの中で揉まれ、自身の主演作では作品を背負うことができる存在なのかどうかを知ることができるということだ。そこで得られる“手応え”は、いち表現者として非常に大切なものだろう。人気ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(2019年/日本テレビ系)では望月の演じる人物がフォーカスされる回もあり、彼の葛藤している姿が強く印象に残っている方も多いのではないか。こうして簡単に振り返ってみただけでも、やはり彼が有望株であることは間違いない。

 『エール』においての望月の出番や見せ場というものは、決して多いわけではない。しかし、朝ドラ出演が俳優にとっていかに“大きなこと”であるのかは、よく耳にする話である。歴史ある朝ドラで、先輩たちの背中を見て育つーーこれが望月歩にとっての、一つのターニングポイントともなりそうだ。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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