『テセウスの船』鈴木亮平を襲う村人たちの悪意 それぞれの“正義”が交錯し物語は最終局面へ

『テセウスの船』物語は最終局面へ

 音臼小事件を起こそうとした犯人の狙いは佐野文吾(鈴木亮平)だった。『テセウスの船』(TBS系)第9話で加藤みきお(柴崎楓雅)に呼び出された佐野は、何者かに襲われて意識を失う。田村心(竹内涼真)がかけつけた時、そこに佐野はおらず、パトカーに横たわるみきおの姿があった。

 真犯人と思われたみきおが青酸カリ中毒で意識不明となり、新たに事件を捜査する県警の馬淵(小籔千豊)は、姿を消した佐野に疑いの目を向ける。同じ頃、駐在所の机には、心が未来から持ってきたノートがあった。ノートには12年前の1977年3月19日に行われた村祭りのチラシが挟まれていた。チラシを犯人からのメッセージであると考えた心は、チラシに名前があった校長の石坂(笹野高史)を訪ねていく。

 第3話で心が投げ捨てた「未来ノート」は、みきおが拾い、何者かの手に渡った後、持ち主の元に戻ってきた。ストーリー序盤でノートが犯人にわたったことは、心にとって大きな誤算だった。ノートを見ることで、犯人は計画が失敗しないように先回りして手を打つことができるからだ。音臼小事件が不発に終わった今、犯人の目論見は外れたようにも見える。しかし、追い込まれたのは心たちだった。

 犯人は、失敗する可能性のあるお楽しみ会での犯行を避け、次なる計画に向けて準備を進めていた。ここから起きるのはノートに記されていない事件であり、ノートはもう用済みだ。犯人はそう言っているように見える。また、チラシを使って心にヒントを出すなど、犯人には自己の犯罪を誇示する偏執的な面もあるようだ。

 音臼村に残る「因縁」も明かされた。石坂によると、12年前の村祭りで、徳本(今野浩喜)の母親が炊き出しのキノコ汁に入っていた毒キノコを食べて亡くなっており、前回放送で、田中正志(せいや)と徳本が話していた「あんなこと」はこの事故を指している。佐野も当時のことを覚えているようで、今回の事件とのつながりが気になる。

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