ダメ男、気弱な青年、挙動不審、サイコパスまで 成田凌はどんな役でも新たな一面を見せてくれる

成田凌、変幻自在ぶりの魅力

 現在放送中の土曜ナイトドラマ『アリバイ崩し承ります』(テレビ朝日系)などを筆頭に、映画『愛がなんだ』『カツベン!』『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』など話題作への出演が絶えない成田凌。もはや“勢い”だけではなく、実力で引っ張りだこ状態である。今後は『弥生、三月 -君を愛した30年-』『糸』、2020年度後期のNHK連続テレビ小説『おちょやん』など、公開・放送を控える作品も数多く待機している。彼の芝居がここまで人気なのは、まさにその変幻自在ぶりが話題に挙がるからだろう。クズっぷりの光るダメ男から、気弱な青年、挙動不審な役からサイコパスなど、どんな役をやらせても新たな一面を見せてくれるのだ。

『弥生、三月 -君を愛した30年-』(c)2020「弥生、三月」製作委員会

 成田の独特の芝居が多くの視聴者に知れ渡ったのはドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)の灰谷俊平役だろう。気弱で飛行機が苦手な新人フェローを演じ、冴えない気弱な青年の成長譚としてのインパクトを残した。しかし一転、映画『チワワちゃん』ではグループの中で彼女を取っ替え引っ替えするようなパリピのクズであるヨシダを演じる。さらに映画『愛がなんだ』では主人公テルコと煮え切らない態度でダラダラと体の関係を続けるマモルを演じたかと思えば、映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』では白髪の天才ハッカー浦野を演じ、平気で人を殺す怪演を見せる。立て続けに出演しては、違った印象の役を難なくこなす成田。こうした定まらないイメージは観ているものを翻弄し、魅了した。髪色、ヘアスタイル、メガネなどのビジュアルの変化も、短期間で臆すことなく変え、時にはエンドロールを見るまで成田だと気づかない時さえあるだろう。

 さらに、芝居でも彼は大きく印象を変えてくる。前述の通り様々な役を演じ分け、変幻自在な姿を見せる成田。果ては、『愛がなんだ』のマモルは、テルコに対する顔とすみれに対する顔で見せる表情が違うなど、作品の中でさえ2面性を作って演じ分けている。こうした細部まで作り込まれた芝居は、彼の綿密な計算だけでなく、人物の輪郭を捉えるという行為への類い稀なるセンスによって支えられているのだろう。

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