春休み興行に影を落とすコロナウイルスへの懸念 注目される『映画ドラえもん』の成り行き

 一つのバロメーターとなるのは、例年3月最初の週末に公開されて、直近の2作品は最終興収50億円突破という、今ではすっかり東宝の春の屋台骨となって久しい『映画ドラえもん』シリーズの最新作、3月6日公開の『映画ドラえもん のび太の新恐竜』だろう。もしその興行にネガティブな異変があるようだったら、2020年の映画興行はその根底から揺るがされることになる(映画以外のイベントが軒並み中止になっていること、地域によって小学校の春休みが前倒しされる場合など、必ずしもコロナウイルスの影響がネガティブに働かない可能性もある)。

 このような異常事態は本コラムの連載が始まってから起こったことがなかったので(東日本大震災が起こったのは当サイトの開設前だった)、今回はコロナウイルスが興行に及ぼす影響について真っ正面から向き合ってみた。次回以降、もし機会があれば、3月5日に終映が決定した『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』及び『スター・ウォーズ』シークエル・トリロジー全体の興行総括や、ホラー映画興行の風向きを変える可能性のある『犬鳴村』や『ミッドサマー』の大健闘についても取り上げたいと思う。

※編集部注:
・本原稿は2月27日(木)正午時点の情報をもとに書かれたものです。
・Bunkamura ル・シネマ(2月28日(金)~ 3月10日(火))、岩波ホール(2月29日(土)〜3月13日(金))、早稲田松竹(2月28日(金)〜3月13日(金))が上映中止・休館を発表。
・東宝が『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の公開延期を発表。
(2月27日19時30分時点)

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「Rolling Stone Japan」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。最新刊『2010s』(新潮社)、2020年1月30日発売。Twitter

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