『テセウスの船』第6話にして真犯人が発覚 再び平成元年に戻るも、物語は予測不能の展開に突入

『テセウスの船』第6話にして真犯人が発覚

 ここに至るまでさつきによる心と鈴への執拗な妨害があり、不審な村人たちが何人も登場した。また、長谷川翼(竜星涼)をはじめ真犯人と目された人々が次々と殺されてきたのも今作の特徴。そんな中で、犯人は絵を使ってもっとも身近な場所から自らの存在を知らせていた。

 気になるのは、大人になったみきおが心に向かって「心先生」と呼んでいること。31年前、タイムスリップした心と出会ったみきおは、現代で再会した心を同一人物と見破っていたことになる。31年後の再会シーンで心にさつきが「どこかでお会いしましたか?」と尋ねる場面もあり、先にさつきが気づいていた可能性もあるが、いずれにしろ小学生ながら恐るべき洞察力と言えるだろう。

 『テセウスの船』は、現代から来た主人公が過去に起こった事件の謎を解き明かす設定だ。現在から見ると過去はすでに起きてしまったことであり、視聴者は主人公と同じ視点からことの経過を見守ることになる。しかし、第6話では、主人公と反対の立場から、過去と現在の両方を知る人物が登場。物語の結末は一気にわからなくなった。

 心がやってきたことを知るみきおは、佐野の無実を証明しようとする心の努力を根底から覆しうる存在だ。捨て身の覚悟でみきおをおびき出した心だったが、霧が立ち込めて31年前にタイムスリップしてしまう。犯人の正体を知った心は、佐野とともに事件に立ち向かうことになる。

 第4話からはじまった現代編のもう一つの見どころが、心と週刊誌記者の由紀の関係だ。元いた世界で夫婦だった2人が事件の真相を追う中で絆を深めていく様子は、まさにパラレルワールドを可視化したもの。第6話で、ついに心は2人が夫婦だったことを由紀に打ち明ける。時空を超えたラブストーリーの行方にも注目したい。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
日曜劇場『テセウスの船』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:竹内涼真、榮倉奈々、安藤政信、貫地谷しほり、芦名星、竜星涼、せいや(霜降り明星)、今野浩喜、白鳥玉季、番家天嵩、上野樹里(特別出演)、ユースケ・サンタマリア、笹野高史、六平直政、麻生祐未、鈴木亮平
原作:東元俊哉『テセウスの船』(講談社モーニング刊)
脚本:高橋麻紀
演出:石井康晴、松木彩、山室大輔
プロデューサー:渡辺良介、八木亜未
製作:大映テレビ、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/theseusnofune/

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