『テセウスの船』掴みかけた手がかりは振り出しに “視線”が重要なメタファーに?

『テセウスの船』掴みかけた手がかりは振り出しに “視線”が重要なメタファーに?

 被害者の集いでの岸田由紀(上野樹里)の説得が功を奏し、新たに証人が名乗り出た『テセウスの船』(TBS系)第5話では、真犯人をめぐって登場人物の思惑が交錯する。

 音臼小事件尾の真相を追う田村心(竹内涼真)の相棒は、31年前は若き日の佐野文吾(鈴木亮平)だったが、現代では週刊誌記者となった由紀だ。心とともに面会に訪れた由紀に、佐野は「ふつつかな息子ですが」と頭を下げる。元いた世界で心と由紀が夫婦になったことを知らないはずの佐野だったが、心の表情から伝わるものがあったのだろう。

 証人として名乗り出た松尾紀子(芦名星)の旧姓は佐々木で、死んだ長谷川翼(竜星涼)の元婚約者でもあった。松尾紀子は、刑事の金丸(ユースケ・サンタマリア)が崖から突き落とされたときの様子を知っていた。

 『テセウスの船』現代編では、由紀や松尾のほかに心の姉・鈴(貫地谷しほり)や、鈴の義理の母で元小学校教師の木村さつき(麻生祐未)がキーパーソンになっている。「年月は人を変える」とさつきが言うように、31年という時間は外見でだけでなくそれぞれの内面にも変化を及ぼしていた。

 さつきは整形して名前を村田藍に変えた鈴を「殺人犯・佐野文吾の娘」と名指しし、協力を求める。教え子で義理の息子であるみきお(安藤忠信)は音臼小事件で後遺症を負って車いす生活。さつきの佐野に対する憎悪があからさまに外に漏れ出しているのが恐怖を感じさせる。小学校教師として生徒から慕われていたさつきが、ここまで変貌してしまった理由が気になる。

 また、明るい性格の少女だった鈴からは笑顔が消えていた。いったんは佐野の再審請求に賛成する決意を固めたが、さつきの脅しに怯え、心に向かって「これが私たちの運命なんだよ」と首をうなだれる。加害者家族への世間の冷たい視線が、鈴たちの人生にも大きな影を落としてきたことが虚ろな表情や物腰から伝わってきた。

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