中島裕翔と間宮祥太朗が通じ合うのはなぜ? 『僕はどこから』に立ち込める“青春のニオイ”

『僕はどこから』の“青春のニオイ”

 Hey! Say! JUMPの中島裕翔が主演を務め、間宮祥太朗、上白石萌歌らが出演するテレビ東京「ドラマホリック!」の『僕はどこから』。ジャニーズ主演であることから「アイドルドラマ」だと思っている人や、原作が市川マサによるヤングマガジン連載の同名コミックであること、中島×間宮というメインキャストから「若者向けドラマ」だと思っている人は多いかもしれない。だとしたら、それはあまりに惜しい。

 中島演じる主人公・竹内薫は、若年性認知症を患う母と二人暮らしをしながら、小説家を目指し、コンビニバイトで生計を立てていた。そんな彼には、文章を書き写すことで他人の思考も文字もそっくりにコピーできるという特殊能力がある。それは小説家の文体そっくりに書ける一方で、「独自のスタイルがない」という悩みでもあった。

 しかし、あるとき、母が事故に遭い、入院費が必要になり、そこに登場したのが元同級生でインテリヤクザの藤原智美(間宮祥太朗)だった。藤原は、竹内の特殊能力を見込んで、とある人物の大学入試の小論文替え玉受験を依頼する。そこから竹内は思いがけない事件に巻き込まれていく。

 ……と設定だけ見ると、リアリティは全くないし、「青春異能クライムサスペンス」という謳い文句を胡散臭く感じる人もいるかもしれない。

 だが、ドラマを実際に観てみると、のっけから、映像の色味やザラッとした感触、引っ掛かりのある音楽に、思わず心をつかまれる。漫画好きやドラマ好き、映画好きにとっては、「これ、絶対好きなやつ」と予感させるニオイが全体に立ち込めている。

 何しろ真逆のキャラを演じる、地味で真面目でお人好しで純粋で気の弱そうな中島と、自分の力だけで生きてきた間宮の組み合わせが良い。

 クラスでは間違いなく別のカーストにいる二人に見えるだけに、序盤は、藤原(間宮祥太朗)が竹内(中島裕翔)を単に利用しているように見えた。こういった真面目で地味でひ弱な青年を演じさせたら、中島は実に光る。華奢な身体つきは、まだ少年のような雰囲気もあり、潔癖さや硬さは、追い詰められる役がよく似合う。そして、追い詰められたときにこそ意外な強さを見せる「窮鼠、猫を~」の雰囲気は、『理想の息子』(日本テレビ系)で演じた坊ちゃんキャラがベースになっているようにも思える。

 一方、歌舞伎役者のような派手な容貌で、お調子者の役がよく似合う間宮だが、今回演じている藤原は、大胆なのに、文学的憂いや繊細さ、孤独感を漂わせている。

 そんな二人が、全く異なるタイプなのに、しかも、ずっとつながっていたわけでもないのに、深い部分で信頼し合い、強い絆で結ばれているのはなぜなのか。そうした問いに応えるように示される、二人をつなぐ原点となる「青春時代」の思い出と追い詰められた現状とが重なり合う構成は、甘酸っぱく、切なく、熱くこみあげてくるものがあるのだ。

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