西島秀俊、2020年は『きのう何食べた?』SPからスタート! 2019年出演作と共にその魅力を探る

西島秀俊、2019年から2020年へ

 2019年は、映画、スペシャルドラマ、連続ドラマなど、多岐にわたって出演してきた西島秀俊。

 昨年1月から放送された『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)では、元警察官だけが住む“おじさんだけのシェアハウス”であるメゾン・ド・ポリスで雑用係を担当する元捜査一家主任の夏目惣一郎を演じた。1話から、小日向文世、野口五郎、角野卓造、近藤正臣といったベテラン俳優たちの中で、末っ子として翻弄され、困惑しつつも飄々としている姿が印象に残った。

 二夜に渡って放送された『名探偵・明智小五郎』(テレビ朝日系)は、江戸川乱歩の推理小説である『怪人二十面相』を現代版にアレンジしたドラマで、西島は明智小五郎を演じた。

 多くの俳優が演じてきた明智小五郎だが、このドラマの中の明智は、サイバーセキュリティ企業「AKロジスティクス」の元CEOで、現在は相談役。ドラマの冒頭では、西島演じる明智が事件の現場に出向き、敵と戦うアクションを見せる。殴られたり蹴られたりしながら、そこにある捜査のヒントとなる解析も行う“デキる”人物ながら、ハッキングチーム「チームBD」の面々からは、けっこう冷たくあしらわれていて、ここでも翻弄される西島が、コミカルさを醸し出しているのも魅力のドラマであった。

 この作品には、香川照之や石田ゆり子、伊藤淳史も出演。香川とは、映画『クリーピー』、『MOZU』シリーズ、ドラマ『ダブルフェイス』『流星ワゴン』(いずれもTBS系)でも共演。西島とは相棒のイメージもある。石田ともドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(カンテレ・フジテレビ系)、『MOZU』シリーズ、映画『サヨナライツカ』で共演している。

 またこのドラマで明智のおなじみの相棒である“小林”の役を演じる伊藤とは、『チーム・バチスタ』(カンテレ・フジテレビ系)シリーズ、ドラマ『ダブルフェイス』『MOZU』シリーズ、『無痛〜診える眼〜』(フジテレビ系)で共演。こちらもよき相棒というイメージ。本作では、小林に出会い、名前が思い出せない明智が「えっとあの……えっとあの……」としつこいくらいボケるシーンもあり、笑いを誘っていた。2019年はこのほかにも、映画『任侠学園』でもふたりのコンビネーションが見られた。

 アニメ『サザエさん』放送50周年記念スペシャルドラマ企画『磯野家の人々~20年後のサザエさん~』(フジテレビ系)では、天海祐希演じる“サザエさん”相手に夫のマスオさんを演じた。コミカルな作品の続く中、航空機搭載型護衛艦「いぶき」の艦長を演じた映画『空母いぶき』の演技は、ほかの作品と一線を画すものとなっていた。

 2019年を振り返るのに、もっとも印象に残った作品というと、やはり『きのう何食べた?』(テレビ東京系)だろう。西島演じる筧史朗、通称シロさんと、内野聖陽演じる矢吹賢二というパートナーであるふたりの日常が描かれた。

 テレ東の深夜ドラマらしく、食べ物を見せる場面も楽しみながら、シロさんとケンジが、周囲の人間から受ける偏見なども、体よくまとめられるのではなく、ときおりチクチクするくらいにそのままに描き出されていた。また、そんなときに、シロさんが感じる葛藤や苛立ちなども包み隠さずに表現されていて、よしながふみによる原作と、脚本を担当した安達奈緒子の力を感じられる一作となっていた。

 シロさんとケンジがお互いを必要とし、ケンカしても関係性を続けていくために修復しようと模索し、その結果、笑顔になっていく過程などを見ていて、幸せな気分にもなれた。

 また、ドラマの終盤に向けて、西島と内野が、台本にはないと思われるような、素のやりとりが多くなっていき、自然な表情が多くなっているようにも見受けられ、そんなふたりの俳優の姿を見るのも本作の楽しみであった。本日、2020年1月1日放送のスペシャルドラマ『きのう何食べた?正月スペシャル2020』にも期待がかかる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる