『グランメゾン東京』“フレンチの鬼門”に挑戦 三ツ星の流儀と木村拓哉が抱く料理の哲学

『グランメゾン東京』木村拓哉が抱く哲学

 12月22日に放送された『グランメゾン東京』(TBS系)第10話で、尾花(木村拓哉)たちは三ツ星獲得に向けてコース料理のリニューアルに取り組む。

 メニュー開発の大きな力になったのはゴーストシェフとして加入した祥平(玉森裕太)。ゴーストシェフとは、ナッツ混入事件の真相が明らかになったことで料理の世界を追われた祥平をグランメゾン東京に迎え入れるための秘策だった。倫子(鈴木京香)や相沢(及川光博)はエスコフィユ閉店のきっかけを作った祥平を許すことができず、怒りの矛先を真実を黙っていた尾花にも向ける。またリンダ(冨永愛)も執ように祥平の足どりを追っていた。

 一方、スーシェフの祥平がいなくなったgakuで丹後(尾上菊之助)は従業員の信望を失い、新メニュー創作にも手を焼いていた。その様子を見たオーナーの江藤(手塚とおる)は非情な通告を突きつける。祥平の存在が店の内外に波紋を呼ぶ中で、尾花はメインディッシュの食材をキジバトに絞り込み、祥平とともに試行錯誤を繰り返していた。

 最終回目前の第10話では三ツ星の流儀が明らかになった。ミシュランによる星獲得の基準は「素材の質」、「料理技術の高さ」、「独創性」など5項目。それまでに星の付いていない店の場合、調査員の審査を3回経なければならない。なかでも三ツ星を得る最後の審査は、スターセレクションのメンバー全員の合意が必要。つまり、グランメゾン東京の場合、最低でも3回は調査員を迎えなければならず、スターセレクションのメンバーと顔見知りのリンダを敵に回すことは可能な限り避けたいところ。しかし、尾花たちは「キジバトのドゥミ・アンクルート」のリンダへのサーブを、レシピを考案した祥平にまかせる。

 尾花たちの行動は、料理に対する独自の哲学に裏打ちされている。『グランメゾン東京』には、放送当初から、主人公のもとに個性豊かな仲間が集結するアニメやロールプレイングゲームを連想する趣旨の感想が寄せられていた。たしかに、天才料理人・尾花を中心にドリームチームを思わせる顔ぶれは、倫子が「すごい仲間に恵まれている」と言い、京野(沢村一樹)が「最高のチーム」と自負するだけあって、見ているだけでワクワクするような一芸の持ち主がそろっている。ただ、それだけだと通りいっぺんのヒーロードラマで終わってしまうところ、物語に深さを与えているのは、各話で丁寧に描かれたそれぞれが抱えるバックグラウンドだった。

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