日本社会に潜む凶暴な闇 隅田靖監督作『子どもたちをよろしく』予告編公開

『子どもたちをよろしく』予告編

 2020年2月29日公開の映画『子どもたちをよろしく』より、予告編が公開された。

 本作は、『ワルボロ』の隅田靖監督が12年ぶりにメガホンを取った人間ドラマ。いじめに苦しみ、そのために死を選んでしまう少年、性的虐待を受け自らを「汚れた存在」と思い込んでしまい風俗産業に身を沈める少女ら、居場所をなくした子どもたちの心の声を描き出す。

 東京にほど近い北関東のとある街。デリヘルで働く優樹菜(鎌滝えり)は、実の母親・妙子(有森也実)と義父・辰郎(村上淳)そして、辰郎の連れ子・稔(杉田雷麟)の四人家族。辰郎は酒に酔うと、妙子と稔には暴力、血の繋がらない優樹菜には性暴力を繰り返した。母の妙子は、まったくなす術なく、見てみぬふり。義弟の稔は、父と母に不満を感じながら優樹菜に淡い想いを抱いていた。

 優樹菜が働くデリヘル「ラブラブ48」で運転手をする貞夫(川瀬陽太)は、妻に逃げられ重度のギャンブル依存症。一人息子・洋一(椿三期)をほったらかし帰宅するのはいつも深夜。洋一は暗く狭い部屋の中、帰ることのない母を待ち続けていた。稔と洋一は、同じ学校に通う中学二年生。もとは仲の良い二人だったが、洋一は稔たちのグループからいじめの標的にされていた。ある日、稔は家の中で、デリヘルの名刺を拾う。姉の仕事に疑問を抱いた稔は、自分も洋一と同じ、いじめられる側になってしまうのではないかと、一人怯えるようになる。

 主演をNetflix『愛なき森で叫べ』の鎌滝えりが務めるほか、杉田雷麟、椿三期ら期待の若手俳優が名を連ねた。企画プロデュースには寺脇研、企画協力に前川喜平の元文部科学省コンビがタッグを組んだ。

映画『子どもたちをよろしく』予告編

 公開された予告には、自ら風俗産業に勤しむ子ども、いじめる子ども、いじめられる子ども……それぞれが窮地に立たされ悩みもがく姿が捉えられている。ラスト、静けさの中に響く車の走行音が印象的に切り取られている。

■公開情報
『子どもたちをよろしく』
2020年2月29日(土) ユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本:隅田靖
出演:鎌滝えり、杉田雷麟、椿三期、川瀬陽太、村上淳、有森也実
企画:寺脇研、前川喜平
特別協力:澤井信一郎
撮影:鍋島淳裕
プロデューサー:片嶋一貴
製作プロダクション:ドッグシュガー  
配給:太秦
(c)子どもたちをよろしく製作運動体

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ニュース」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる