『まだ結婚できない男』前作とは異なるヒロイン像 桑野と向き合う吉田羊は、女性の強い味方?

『まだ結婚できない男』吉田羊の新ヒロイン像

 夏美と今回のまどかが似ているようで微妙に違うのは、夏美の場合、桑野は恋愛感情的な好意を抱いて相談に行っていた印象を受け、気になる子をいじめる小学生男子のような不器用さに通じるものがあった。今シリーズの桑野の好意は稲森いずみ演じる有希江に対する方が色濃く、まどかに関しては、結婚できないまどかの考えを論破して満足する、友達として会話を楽しむ相手のようにも思える。

 まどかが結婚について「弁護士になるのに司法試験を受けた。それは登る山を決めて登山するようなもの。でも結婚は頂上を目指して山登りするものじゃない。散歩です。偶然の出会いをどれだけ大事にできるか。散歩ってナビを付けるものじゃない」という散歩理論に桑野は「自分の結婚に対して何の努力もしてないことを正当化したいということですか?」と一笑。例え桑野の意見に賛同し、「自分が進んでいる道は間違ってないって思いました」と言っても「そのナビの入力が間違ってないといいですね」と皮肉を言われる。結婚のこと、仲の悪い母親のこと、長年自分を正当化するために言い聞かせてきたことを、逃げるなと言わんばかりに桑野は心に踏み込んでくる。当初は「桑野さんの一番の対処法は気にしないこと」と言っていたが、口喧嘩しあう仲になってからは「桑野さんは正しい。正しいから腹がたつの」と、正論としてしっかり受け止めているところが大人であり、前作の夏美よりも探り合いでなく、徐々に本音でぶつかりあっていってるところが、今シリーズにもたらした新たな魅力と言えるのかもしれない。

 さて最終回だが、吉田も前回9話を前にドラマの公式インタビューで答えていたが、喧嘩ばかりだと思っていた相手が、実は本音でぶつかり合える貴重な存在と気付いた時、途端に相手を意識し始める。その時大人がどんな行動をとるのか。それを前回有希江からまどかは指摘してされ意識し始めるという展開を迎えている。その思いに桑野がいつ気づき、どういう言葉のキャッチボールをするのか。最終回は三角関係の恋愛模様が注目されているが、今までの流れだと桑野とまどかに恋愛感情はないように思われ、どちらかと言うと、裁判で敵対関係にもなるので、それでも男女の友情は成立するのか? というところを注目したい。もうこうなったら一生結婚しないで、『北の国から』のように毎年シリーズ化して桑野の人生を描ききってもらいたいものだ。

(文=本 手)

■放送情報
『まだ結婚できない男』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54
出演:阿部寛、吉田羊、深川麻衣、塚本高史、咲妃みゆ、平祐奈、阿南敦子、奈緒、荒井敦史、小野寺ずる、美音、RED RICE、デビット伊東、不破万作、三浦理恵子、尾美としのり、稲森いずみ、草笛光子
脚本:尾崎将也
演出:三宅喜重(カンテレ)、小松隆志(MMJ)、植田尚(MMJ)
チーフプロデューサー:安藤和久(カンテレ)、東城祐司(MMJ)
プロデューサー:米田孝(カンテレ)、伊藤達哉(MMJ)、木曽貴美子(MMJ)
制作著作:カンテレ、MMJ(メディアミックス・ジャパン)
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/kekkondekinaiotoko/

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