「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『国家が破産する日』

今週のオススメは『国家が破産する日』

 さらに海外からも登場人物が。ヴァンサン・カッセル演じるアメリカ人のIMF専務理事です。韓国はIMFに支援を求めますが、この専務は支援の代わりに中小企業の倒産や大量解雇、韓国企業の株を所有する限度額の引き上げなど過酷な支援条件を提示します。そうすることによってアメリカは韓国の大企業からの利益を得ることができるようになるんです。

 国家破産で得をする人、損をする人……経済におけるあらゆる人の動きと思惑が一望できます。そしてそこからは、確実に存在する<情報・経済>格差社会で生活する人(それは自然と現代の私たち鑑賞者をも映し出します。人はなかなか変われないということでしょうか……)の姿が自ずと浮かび上がります。

 そこに、通貨対策チームはタイムリミット内に様々な思惑を切り抜け、国家破産を回避できるかというサスペンス要素も加わってくる。にしても、お金って奥深いものです。正義のために行動できる人は、本作においてとても少ないです。自分が得できるなら、そっちに行きたい、あっち側には行きたくない……というのは私たちにも当てはまる行動パターンです。

 当時のことや経済の前提知識がなくても、極上のエンターテインメントとして引き込まれること間違いなしの本作。ぜひ、充実の一途を辿る韓国社会派映画の先端として観てみてはいかがでしょうか。

■公開情報
『国家が破産する日』
シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国公開中
監督:チェ・グクヒ
出演:キム・ヘス、ユ・アイン、ホ・ジュノ、ヴァンサン・カッセル
提供:ツイン、Hulu
配給:ツイン
2018年/韓国映画/114分/カラー/5.1chデジタル/ビスタ/日本語字幕:福留友子/字幕監修:浜矩子
(c)2018 ZIP CINEMA, CJ ENM CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

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