『チェルノブイリ』と『ジョーカー』の深い関係を 「ショーランナー」と「音楽」から掘り下げる

『チェルノブイリ』と『ジョーカー』の深い関係を 「ショーランナー」と「音楽」から掘り下げる

 『チェルノブイリ』(「スターチャンネル」が独占日本初放送&配信中)エピソード4には「ジョーカー」が登場する。爆発事故で建屋の屋上に飛び散ったまま放置されている炉心の残骸を排除するため、西ドイツの警察からわざわざ取り寄せた作業ロボットの名前だ。ものものしく登場したその「ジョーカー」だったが、毎時21000レントゲンの放射線量が計測されている現場では、マイクロチップの回路が一瞬で破壊されてまともに作動することさえできない。現場の責任者であるソ連閣僚会議副議長ボリス・シチェルビナは、西ドイツ政府に建前の放射線量を伝えたソ連政府上層部に対する怒りを爆発させることになるのだが、『チェルノブイリ』と「ジョーカー」のリンクはそれだけでない。

 『チェルノブイリ』でショーランナー(製作総指揮と脚本)を手がけているのはクレイグ・メイジン。『最終絶叫計画』シリーズや『ハングオーバー!』シリーズのようなコメディ映画の脚本を手がけてきたアメリカ人の脚本家だ。数少ない非コメディ作品である『スノーホワイト/氷の王国』(2016年)も含め、これまで関わってきたのは続編作品ばかり。過去のフィルモグラフィーからは、「1作目がヒットした映画の続編を引き継いでくれる、器用なコメディ畑の脚本家」以外の印象はなかなか持ちようがない。そんな比較的軽んじられてきた脚本家が、リミテッドシリーズ部門(1シーズンで完結するテレビシリーズ)の作品賞を含む、エミー賞10部門を独占する2019年を代表する傑作テレビシリーズを手がけたことになる。

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 同じような話を最近聞いたことがないだろうか? そう、映画界では現在、これまで比較的軽んじられてきたコメディ畑の監督トッド・フィリップスが『ジョーカー』によって世界中で旋風を巻き起こしている。1971年に同じニューヨーク・ブルックリンで生まれたメイジンとフィリップス、『ハングオーバー!』シリーズの2作目と3作目で共同脚本家として密接にタッグを組んでいたこの2人は、その6年後にそれぞれテレビシリーズの世界と映画の世界で同じ時期に最重要クリエイターになったことになる。自分は『ハングオーバー!』シリーズをこよなく愛してきた観客の1人だが、『チェルノブイリ』と『ジョーカー』を実際にこの目で見るまで、2人のここまでの大躍進はまったく予想も予測もできなかった。

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