『天才たちの頭の中』監督が語る、デビッド・ボウイら偉人107人から得た“クリエイティブ”のヒント

107人の偉人から学ぶ“クリエイティブ”

「みんな水で料理をしている」

ーー監督自身も、映画監督、作家、プロデューサー、そして大学の教授だったりと、様々な分野で活躍していますね。

ヴァスケ:自分の作品制作と教師には共通しているものもあると考えている。教え子の中に「自分に自信がないし優秀じゃないから、クリエイティブな業界に入れるわけがない」と言っていた子に、「みんな水で料理をしている」という話をしたことがあった。みんな大したものは持っていないなかで、どう自分を見せるか、どう自信を持つか、それが大事だと思うと。煮詰まっている人の、その出口をゆるめてあげることが僕の役割だと思っているよ。映画でもまさに同じことを言っているし、つまり教育が大切なんだ。教育が本来すべきことは、「あなたの個性を発揮することが何よりも大事なんだ」と励ますことだけど、多くの教育は無数の細かいルールで学生を縛りつけてしまっている。自分の腕がいかに優れているか、優秀かということより、自分が何をしたいかという志が大事だと思うね。

ウィレム・デフォー

ーー広告クリエイターから始まったキャリアですが、映画監督として活動している今、ご自身の創造性はどう引き継がれていると思いますか?

ヴァスケ:最初に「つまらない」と言ったけど、広告の世界は学びという点においてはとても役立つ。なぜなら、ある概念、テーマのもと、限られた時間の中で物事を思考することを強制されるのはいい訓練になるし、それが面白いんだ。次々と問題を解決してくことで、頭をアクティブにしていくことができるしね。たとえるなら、コマーシャルは短距離走で、映画をつくるのはマラソンだね。99%はクソみたいだけど(笑)、すばらしい広告というのは本当にクリエイティブだと思うし、近代美術館などに展示して表彰されることもある。商業的な広告やアートも、実はクリエイティブであると考えているよ。

(取材・文=若田悠希)

■公開情報
『天才たちの頭の中~世界を面白くする107のヒント~』
新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開中
監督・製作:ハーマン・ヴァスケ
出演:デヴィッド・ボウイ、クエンティン・タランティーノ、ジム・ジャームッシュ、ペドロ・アルモドバル、ビョーク、イザベル・ユペール、スティーヴン・ホーキング、マリーナ・アブラモヴィッチ、ヤーセル・アラファト、ボノ、ジョージ・ブッシュ、ウィレム・デフォー、ウンベルト・エーコ、ミハイル・ゴルバチョフ、ミヒャエル・ハネケ、ヴェルナー・ヘルツォーク、サミュエル・L・ジャクソン、アンジェリーナ・ジョリー、北野武、ジェフ・クーンズ、ダイアン・クルーガー、スパイク・リー、ネルソン・マンデラ、オノ・ヨーコ、プッシー・ライオットほか
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
2018年/ドイツ/英語・ドイツ語・フランス語・ロシア語・日本語/88分/ビスタ/5.1ch/原題:Why Are We Creative?/日本語字幕:杉山緑/R15+
(c)2018 Emotional Network
公式サイト:tensai-atama.com

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