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清原果耶が『なつぞら』で担う、広瀬すずと真逆のリアリティ “ライオンの子”からの成長を辿る

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 初めて清原果耶の名前を意識したのは、実写映画版『3月のライオン』のヒロイン、川本ひなた役だったと思う。原作漫画『3月のライオン』においてひなちゃんという存在は読者人気投票で主人公の桐山零をさしおいて1位をゲットする最大の人気キャラクターであり、主人公にとってある種の精神的な象徴でもあるような重要な存在だった。映画化そのものへの反感もあった中で相当に重圧のかかる役だったと思う。恐らくは撮影時に14歳前後だった彼女の演技は、さすがに年上の名優たちの中ではまだ台詞回しに幼さが目立っていたが(彼女の相手役、17歳の桐山零を演じる神木隆之介は当時23歳前後で、その実年齢の差は10歳に近かった)、後編の山場の一つ、教室でのいじめに立ち向かうシーンでの目の強い光が心に残っている。有村架純や佐々木蔵之介など数多くの名優が集まったこの映画で、彼女はそれこそライオンの子供のように印象的な存在だった。

(c)2018 映画「ちはやふる」製作委員会 (c)末次由紀/講談社

 『ちはやふる ー結びー』の清原果耶は、原作にはないオリジナルキャラクター、それもクイーン・若宮詩暢への挑戦権を賭けて主人公の綾瀬千早と対決する、我妻伊織役に抜擢された。松岡茉優の演じる詩暢と広瀬すずの演じる千早は原作に準じて映画でも見事なライバル関係を構築しており、完結編を銘打った作品で突然登場する新キャラクターがそこに割って入るのは無謀にも見える演出だった。しかし、小泉徳宏監督の手腕と清原果耶の演技の相乗効果でこの新キャラクターは見事に昇華する。寡黙で台詞は少ないながら(出身地とは違う福井弁で多弁に語らせるのを演出的に避けた面もあると思う)、主人公を一度は破ってクイーンに挑戦する天才少女の風格がそこには漂っていた。

 初主演作となった『透明なゆりかご』(NHK総合)では清新な演技で新人賞を受賞し、作品としてのクオリティも高く、おそらくこれが現時点での彼女の代表作と言われることも多い。ただ、女優として僕が驚いたのがその後の映画『デイアンドナイト』の方で、施設で育った高校生を演じた彼女は、低い声域を使った抑制された演技で陰鬱な物語に強いインパクトを与えていた。それは『3月のライオン』で川本ひなたを演じた時の声とはまったく違う、とても強く成長した声だった。映画としては中規模公開なのでテレビドラマに比べて知られていないのかもしれないが、僕が見た範囲で現時点での清原果耶のベストアクトはこの映画『デイアンドナイト』だと思う。子供だったライオンの娘は大きく成長したわけだ。

連続テレビ小説『なつぞら』(写真提供=NHK)

 朝の連続テレビ小説『なつぞら』(NHK総合)で、清原果耶は広瀬すずと再び共演することになる。広瀬すずの演じる主人公・奥原なつと清原果耶が演じる千遥は、同じく戦災孤児でありながらはっきりと明暗が別れた人生を送る。新しい文化の中で自己実現するなつと、嫁入りした古い家に縛られ生きてきた千遥。過去の朝ドラ歴代ヒロイン女優が登場することで話題を集めた『なつぞら』だったが、なつと千遥という姉妹の対比はまるで近年作『半分、青い。』のポップさと古典『おしん』のヘビーさ、朝ドラの現在と過去の世界観が交差するような構図で撮られたシーンになっていた。

      

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