「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『アド・アストラ』
映画評論サイト「Rotten Tomatoes」では、批評家と観客の間で評価が割れている(tomatometer 81%、Audience Score 57%)が、本作はまさにそういう映画だと言える。壮大なSF映画を期待して観に行くと、ブラッド・ピット演じる主人公ロイ・マクブライドの悲壮感漂うモノローグや、なかなか進まない宇宙空間での展開に、眠気を感じてしまうかもしれない。だが、宇宙空間という壮大なフィールドで、親子の関係性というパーソナルな問題を描くという一貫した方向性が、この作品の価値をより強固なものにしている。
先の述べたように、ジェームズ・グレイは前作『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』が日本では限定公開となり、『エヴァの告白』の前に手がけた『トゥー・ラバーズ』に至っては日本劇場未公開となるなど、日本では不遇の作家となってしまったが、本作『アド・アストラ』で正当に評価されることを願ってやまない。このような意欲的で挑戦的な作品が、20世紀フォックスというスタジオから世に出ることの意味も非常に大きいと言えるだろう。
■公開情報
『アド・アストラ』
全国公開中
監督:ジェームズ・グレイ
製作:ブラッド・ピットほか
脚本:ジェームズ・グレイ&イーサン・グロス
出演:ブラッド・ピット、トミー・リー・ジョーンズ、ルース・ネッガ、リヴ・タイラー、ドナルド・サザーランド
配給:20世紀フォックス映画
(c)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/adastra/index.html