YOSHI、菅田将暉、仲野太賀と「大駱駝艦」扮する謎の白塗り集団 『タロウのバカ』本編映像公開
9月6日公開の大森立嗣監督最新作『タロウのバカ』の本編映像が公開された。
本作は、『日日是好日』『セトウツミ』『さよなら渓谷』などの大森監督のオリジナル脚 本による最新作。主人公の少年タロウには名前がない。戸籍すらなく、一度も学校に通ったことがない。そんな“何者でもない”タロウ(YOSHI)には、エージ(菅田将暉)、スギオ(仲野太賀)という高校生の仲間がいる。エージ、スギオはそれぞれやるせない悩みを抱えているが、なぜかタロウとつるんでいるときは心を解き放たれる。大きな川が流れ、頭上を高速道路が走り、空虚なほどだだっ広い町を、3人はあてどなく走り回り、その奔放な日々に自由を感じている。しかし、偶然にも一丁の拳銃を手に入れたことをきっかけに、彼らはそれまで目を背けていた過酷な現実に向き合うこととなる。
今回公開された本編映像は、拳銃を手に入れたことにより、死を強く意識し始めたタロウ、エージ、スギオの3人が、生と死の狭間に入り込むさまを幻想的に表現したシーンで、俳優・舞踏家である麿赤兒が主催する舞踏カンパニー「大駱駝艦」が扮した謎の白塗りの集団の登場から始まる。彼らが読み上げているのは、パレスチナ人をめぐる抑圧や不安、抵抗を託した詩で知られ、パレスチナを代表する詩人でもあるマフムード・ダルウィーシュの詩の一節から引用したもの。この異様な“現実”とも“幻想”とも区別のつかない謎の集団の前を、タロウ、エージ、スギオの3人はともに静かに歩き始める。その後、エージが呟くのは「生きてる人と死んでる人って、どっちが多いかっつったら死んだ人の方だよな」という、あまりにも刹那的な一言。壊れゆく世界を生きざるを得ない3人の少年たちの、理屈では説明できない感情が溢れ出す映像となっている。
このシーンを挿入した理由について、大森監督は「異物感のあるものを入れることで、世界を広げたくなる。物分かりのいい完成度の中で収まると、逆に自分の気持ちが歪曲して伝わっちゃうかなと。『外に、外に』っていう感覚。現実、原則から一歩踏み出したいといつも思っています」と、現実を切り取る手法で満足するのではなく、より高次元へと飛翔させるために本シーン映像を採用したと明かしている。
背景に流れる印象的な音楽は、彼らの生と死の狭間をたゆたう感覚を、独特の音色を持つインドの民族楽器シタールによって表現したもの。手がけたのは、『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』『ぼっちゃん』『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』で過去何度も大森監督とタッグを組んでいる大友良英。「シタールは音階が正音階より数倍広いんですね。つまり、ピアノやギターのような安定感というか心地よさに収まっちゃう楽器ではない。シタールの揺らぎのある音は、例えば、生と死の狭間を表現できると思った」という大森監督のリクエストに応えることで、大友はこのインパクトの強い音楽を生み出した。
■公開情報
『タロウのバカ』
9月6日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー
監督・脚本・編集:大森立嗣
出演:YOSHI、菅田将暉、仲野太賀、奥野瑛太、植田紗々、豊田エリー、國村隼
製作幹事:ハピネット、ハーベストフィルム
配給:東京テアトル
(c)2019 映画「タロウのバカ」製作委員会
公式サイト:www.taro-baka.jp