MCU製作総指揮、大作出演に監督、Netflixでは料理!? ジョン・ファブローが映画界で愛されるワケ

ジョン・ファブローが映画界で愛されるワケ

 現在大ヒット公開中の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』をはじめとしたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品において、アイアンマンことトニー・スタークのボディーガードで運転手、またスパイダーマンことピーター・パーカーのお目付役として独特の存在感を発するハッピー・ホーガン。いわゆるヒーローではない一般人としてはMCUで最も人気のあるキャラクターではないだろうか。そのハッピーを演じているのはジョン・ファブロー。俳優、監督、プロデューサーとして様々な顔を持つ彼は、『アイアンマン』と『アイアンマン2』で自らメガホンをとり、『エイジ・オブ・ウルトロン』以降の『アベンジャーズ』シリーズで製作総指揮を務めている。まさにMCU作品に欠かせない極めて重要な人物といっても差し支えないだろう。

 もともとスタンダップコメディアンを目指していたファブローは、俳優としてそのキャリアをスタートさせた。90年代前半にはコメディ映画やテレビシリーズなどに出演。そして96年に自身の体験をもとにした『スウィンガーズ』で主演・脚本・製作の三役を務め上げ、(同作の監督を務めたのはのちに『ボーン・アイデンティティー』や『SUITS/スーツ』を手がけるダグ・リーマンだ)それをきっかけに数多くいるコメディ俳優のひとりではなく、どんな役でもこなせる個性派のひとりとして認知されるようになるのだ。その後のフィルモフラフィを見れば、超大作『ディープ・インパクト』やマーベル・コミック原作の『デアデビル』など、明らかに出演作の規模が大きくなっているのが一目でわかる。

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』

 そして90年代後半からテレビ映画の監督を務めるようになり、2001年には『スウィンガーズ』でコンビを組んだヴィンス・ヴォーンと共演した『Made(原題)』で劇場映画監督デビューを飾る。ここから、彼の“二足のわらじ”ないし“三足のわらじ”としての快進撃がはじまることに。その最大の成果を遂げたのが2003年、クリスマスをテーマにしたファミリー向けコメディ『エルフ〜サンタの国からやってきた〜』がサプライズヒットを記録したことだ。公開初週こそ同日公開の『マトリックス:レボリューションズ』の後塵を喫するものの、2週目には興行収入ランキングで1位を奪取することに。

 最終的には1億7000万ドルの興行成績を叩き出し、2003年公開作では『ターミネーター3』や『ワイルド・スピード2』などを上回る第7位にランクインを果たしたのだが、何故この映画がそれほどまでに大ヒットを記録したのか。たしかに、ここ数年のフランチャイズ映画の台頭ではイメージし難いが、2000年代までのアメリカでは毎年1作品は単発のコメディ作品で大ヒット作が生まれている。同作の前年には『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』、2005年には『ウェディング・クラッシャーズ』がその例であり、キャストの知名度や規模関係なしに(いずれも期待度の割に出来栄えが今ひとつだった大作とほぼ重なる時期に公開しているというのは実に興味深い点ではあるが)、一時の娯楽として充分すぎる水準のクオリティが、映画を観ることが習慣化してるアメリカの国民に受け入れられたわけだ。また、この年は典型的なファミリー向けのクリスマス映画がほとんどなかったことも成功の要因だったといえる。

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