『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』はScreenXと相性抜群! ワイドな視界が生む効果

『スパイダーマン』ScreenXとの相性

ScreenXはさながらフライトシミュレーション

 ScreenXは、全てのシーンで両壁のスクリーンを使用するわけではない。「ここぞ」という見せ場の時に両サイドのスクリーンを開放し、通常のシーンでは前方のスクリーンのみ展開する。これが案外、作品にメリハリを与える効果になっている。迫力満点のアクションシーンでは、両サイドのスクリーンを展開して没入感を高め、人物の感情にフォーカスしてほしいシーンでは前方のスクリーンだけ展開する。両サイドのスクリーンがスウッと消えると、前方への集中力が高まるので「ここは、人物の芝居を観て感情にフォーカスすればいいのだな」とわかる。

 また、ScreenXの広い視界が、観客に与える最も大きな変化は空間の知覚だ。両サイドのスクリーンを展開した状態で、カメラがゆっくりと上昇していくカットなどは、本当に劇場全体が浮き上がっていくような感覚が得られる。例えるなら、飛行機のフライトシミュレーションのような感覚だ。本当に空間全体で移動しているような気分になる。

 本作では、この感覚が存分に活かされた。『スパイダーマン』は空中戦が多い作品なので、空間全体が浮遊している感覚は、ピーターとともに空に舞い上がる感覚をより強化してくれる。

 とりわけ、ScreenXはドローンによる空中撮影と相性が良いと感じた。スムーズな動きで上下左右に動くドローンによるカメラワークは、270度の視界を経て、観客はちょっとしたヘリの遊覧飛行気分を与えてくれる。

 総じて、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』はScreenXと非常に相性の良い作品だった。本シリーズはまだまだ続くようなので、今後のシリーズでも、このワイドな視界を用いた、驚くような映像を作り続けてほしい。本作を通常のスクリーンで鑑賞した方も、もう一度ScreenXで鑑賞してほしい。1度目の鑑賞時よりも、さらに深く作品世界に入り込めるはずだ。

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ScreenX特別映像

■杉本穂高
神奈川県厚木市のミニシアター「アミューあつぎ映画.comシネマ」の元支配人。ブログ:「Film Goes With Net」書いてます。他ハフィントン・ポストなどでも映画評を執筆中。

■『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ScreenX上映劇場
【ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場】【ユナイテッド・シネマ 福岡ももち】【ユナイテッド・シネマ PARCO CITY 浦添】
http://www.unitedcinemas.jp/screenx/
【シネマサンシャインかほく】
http://www.cinemasunshine.co.jp/theater/kahoku/
【シネマサンシャイン下関】
http://www.cinemasunshine.co.jp/theater/shimonoseki/

■公開情報
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
全国公開中
監督:ジョン・ワッツ
脚本:クリス・マッケナ&エリック・ソマーズ
マーベル・コミック・ブック原作:スタン・リー、スティーヴ・ディッコ
製作:ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル
出演:トム・ホランド、サミュエル・L・ジャクソン、ゼンデイヤ、コビー・スマルダーズ、ジョン・ファヴロー、J・B・スムーヴ、ジェイコブ・バタロン、マーティン・スター、マリサ・トメイ、ジェイク・ギレンホール
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:http://www.spiderman-movie.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/spidermanfilmjp
公式Facebook:https://www.facebook.com/SpiderManJapan/
ScreenX公式サイト:https://www.screenx.co.kr/

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