『ゴールデン・リバー』監督が語る映画の役割 「“共存”というテーマに強く惹かれた」

『ゴールデン・リバー』監督が語る

「映画館を出るときは、喜びを感じていたいんだ」

ーー本作では黄金を巡って様々な闘争が描かれながらも、終始明るい雰囲気を感じさせます。

オーディアール:ポジティブな作品にしたいとは考えていたかもしれない。僕は映画館を出るときは、喜びを感じていたいんだ。運命論者的な暗い考えで映画館を出たくないんだよ(笑)。

ーー『ディーパンの闘い』で移民問題を扱ったように、常に映画の社会的意義を重視しているように感じます。ゴールドラッシュが巻き起こった1851年を舞台にした本作において、現代社会が反映された部分はありますか?

オーディアール:僕が映画の社会的意義を重視しているというのは、その通りだね。自分にとって身近なテーマじゃないと、僕は作品を作れない。作品がフィルム・ノワールだろうが西部劇だろうが、僕たちの現代社会を要約しているような映像を作ることが、映画の1つの機能・役割だと思っている。

 『ディーパンの闘い』と『ゴールデン・リバー』の共通点をあげるとしたら、どちらも民族の大移動が起こった時代を描いている。もちろん「移民」と言っても、一言では言えない複雑なものだけど、ゴールドラッシュは、アメリカ大陸最初の民族の大移動と言えると思う。アメリカ開拓民の村に行くと、スペイン語、アイルランド語、フランス語……本当にいろんな言語が話されている。いろいろな言語・民族が共存していたのが、ゴールドラッシュの時代だ。僕はその「共存」というテーマに強く惹かれたんだ。 

(取材・文=島田怜於)

■公開情報
『ゴールデン・リバー』
TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中
監督:ジャック・オーディアール
原作:『シスターズ・ブラザーズ』パトリック・デウィット (創元推理文庫刊)
出演:ジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス、ジェイク・ギレンホール、リズ・アーメッド
配給:ギャガ
(c)2018 Annapurna Productions, LLC. and Why Not Productions. All Rights Reserved.

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