福地桃子、伊原六花、貫地谷しほり、渡辺麻友 『なつぞら』を支える女性キャラクターたちの魅力

なつを支える女性キャラクターたちの魅力

大沢麻子(貫地谷しほり)、三村茜(渡辺麻友)

 東洋動画には、アニメーターとして才能を発揮している貫地谷しほり演じる大沢麻子という先輩も登場する。最初は、なつの派手な服装に難色を示し「男探しに来ているだけなら、目障りだから、私の前、ウロチョロしないで」というキツイセリフを言う場面もあるが、やがてそれが勘違いだと気づく。また、なつが書いた作画と知らずに、なつの才能を評価する最初の人物でもあるため、今後、ふたりの才能がぶつかりあいながら切磋琢磨していくのかも楽しみである。

 なつが作画の部署に異動してからは、渡辺麻友演じる三村茜がどうかかわってくるのだろうか。なつは、こうした女友達と、単に心を交わすだけでなく、お互いの才能に影響されたり、刺激を受けながら、夢を叶えてくのだろう。そこは、誰かを支える立場を描くのではなく、回り道もしながら自身で切り開く作品ならではの展開で、今後もさまざまな女性キャラクターが、なつと共にドラマを盛り上げてくれるのではないだろうか。

 これまでの朝ドラ『ひよっこ』や『半分、青い。』など、主人公が、回り道をしながらどこかに向かう物語は、職業や住む場所を転々としながら生きていくため、学生時代や職場など、その先々で新たな腹心の友を得ていく様子が描かれてきた。

 『なつぞら』の6月19日の放送では、大沢麻子となつが、新しいアニメで常盤御前のキャラクターを決定する会議で正反対の絵を描いてくるが、そのどちらが良いかを話し合う際、お互いの意見を率直に述べつつも、それを自分への批判ととらず、批評として受け止める姿に個人的には興味を持った。

 同じ目的を持った同士がお互いの才能を認め合い、ライバルとしても意識しあいながら、友情や尊敬も成立するという関係性がこの先の『なつぞら』で見られることだろう。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

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