長尾謙杜が自然に見せる「変化」のグラデーション 『俺スカ』若林役での抜きん出た演技力

 古田新太が演じる、ゲイで女装家の原田のぶおが私立高校の教師として赴任し、生徒たちと向き合っていく『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系、以下『俺スカ』)。

 のぶおが学校に現れたばかりのとき、生徒たちは「ヤバいおじさん」と口々に言い、拒否反応を示したり、嘲笑を浴びせかけていたりした。しかし、そんな生徒たちが、のぶおの力を借りて個々に抱える問題や悩みと向き合い、前進し、一人ずつ「仲間」になっていく。

 こうした流れは、型破り教師の物語では定番であり、多数の生徒たちの中で最も大事な役割を担う一人が、最初に仲間になる生徒と最後まで抵抗を示す生徒というのも、お約束だ。

 そして、『俺スカ』の場合は、のぶおとクラスメートたちの最初の接点となったのが、マスクで顔を覆い、人とのコミュニケーションを拒絶する若林。演じるのは、関西ジャニーズJr.のユニット「なにわ男子」の長尾謙杜だ。

 この若林は、四面楚歌の状況下で、主人公と他のクラスメートたちとの懸け橋になるだけでなく、『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)の野ブタ(堀北真希)などと同様に、「変身」することによって、視聴者にのぶおの力を信じさせる役割を担っている。

 加えて、「マスク」の特性もある。

 通常、フィクションにおけるマスク役には、「マスクをとったら怖い」口裂け女的なホラー展開と、「マスクをとったら美形」展開の大きく分けて2種がある。若林の場合、もちろん後者だが、大前提として必要なのは、クラスの中で孤立し、誰とも喋らない地味でおとなしい子に見えること。と同時に、わずかに見えている目だけで「マスクをとったら可愛いに違いない」と思わせる輝きを持つこと。

 さらに重要なのは、クラスメートたちのサポートを得て、屋上から飛び降り、自分の殻を破ることができた後に、マスクを外す瞬間だ。ここでは、そこまで視聴者の頭の中で作られつつある「可愛いに違いない」という予想のハードルを、さらに数段超えてくる必要がある。

 その点、小柄で一見おとなしそうな長尾は、目の輝きだけで予想・妄想させ、さらにマスクを外した色白美肌ぶりで視聴者を圧倒した。若林役としてまさにハマり役だったといえる。

 しかし、若林が果たすべき仕事は、第1回のマスクを外すところまでだと思われたが、長尾が自然な演技力でうならせてくれたのは、実はその先の展開から。



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