黒島結菜×菅原小春、『いだてん』の“ヴィーナス”として輝く 現代まで続く自由への叫び

黒島結菜×菅原小春、『いだてん』のヴィーナスに

 『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)第22回「ヴィーナスの誕生」が6月9日に放送された。東京府立第二高等女学校、通称「竹早」では、女学生たちが四三(中村勘九郎)の熱血指導の下、スポーツに明け暮れていた。第22回では、今後の女子スポーツを牽引する2人の女学生に注目が集まった。

 第21回で「くそったれ!」と叫びながら槍を投げる姿が印象的だった四三の教え子・富江(黒島結菜)。あの出来事がきっかけとなり、富江はマラソンやテニスといったさまざまなスポーツに勤しむようになる。富江の魅力は、「くそったれ!」と叫びながらスポーツに励む凛々しい姿だけではない。同級生と共に、海外のスポーツ選手のスラッとした容姿に憧れたり、可憐なユニフォームに目を輝かせたりする、年頃の女性らしく可愛らしい姿も魅力のひとつだ。富江を演じる黒島の「目」は、スポーツを楽しむときは凛とし、一方スポーツをしていないときには、15歳らしい好奇心に満ちている。富江の子供っぽいあどけなさと大人顔負けの強さを、黒島は体現しているのだ。

 劇中、富江は自作のユニフォームをつくる。可憐なユニフォームに身を包みながらテニスをする当時の資料映像も流れ、驚いた視聴者も多いのではないだろうか。可愛らしいユニフォームで試合に臨む富江は、全国的なスポーツアイドルとして注目されるようになる。だが、四三に「じゃじゃ馬」と呼ばれる、当時にしては奔放な性格も健在。陸上大会のハードル走に出場した富江は「新しいシューズが足に合わない」という理由で、人前で靴下を脱ぎ、足を晒した。騒ぎ立てる人々の描写で、当時の女性は人前で足をさらけ出すことすら奇異の目で見られていたのだとわかる。だが、本人は「このほうが走りやすい」と清々しい表情を浮かべた。黒島が見せた爽やかな笑顔は、当時の慣習に臆せず、スポーツに熱い想いを注ぐ富江の姿に説得力を与えるものだった。

 「娘が好奇の目にさらされた」と腹を立てた父・村田大作(板尾創路)によって、四三に退職の危機が迫ったとき、富江は率先して反対運動を行った。旗を振り「不当解雇反対!」と声高らかに訴える富江の姿は、光の中で輝きながら堂々としている。絵画では「自由」の象徴としても描かれることの多い「ヴィーナス」。第22回のタイトル「ヴィーナスの誕生」の通り、富江は当時の女性たちの姿や思いを率先して示す「ヴィーナス」となっていた。

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