『月極オトコトモダチ』徳永えり×穐山茉由監督に聞く、“男女の友情”はあり得るのか?

『月極オトコトモダチ』徳永えり×監督対談

徳永「自分の経歴がちょっとおかしいと思っている(笑)」

ーー実際に友達をレンタルしてみた経験は徳永さんにも共有されたんですか?

穐山:細かく話して共有するというよりは、シナリオに込めました。逆に徳永さんが私の実体験を意識しすぎちゃうのも違う気がして、徳永さんには本当に感じるままにやってもらいたいなという気持ちがありました。

徳永:確かにあまりなかったですね。私からしたら、演じているうちに“那沙=監督”ということがだんだん分かってきたので、監督を見ていれば答えが出てくるような気がしました。

ーー最初は答えがわからなかった部分も?

徳永:シナリオを読んだ時に、まず那沙というキャラクターが私の中でちょっと掴めなかったんです。どこに重きを置いたらいいのかが全然わからなくて……。でも実際やってみて気がついたのは、那沙は基本的に素直だということ。感情のうねりも素直だからこそ生まれることで、それによっていろんな面が出てくるんだと気がつきました。今回は9日間ぐらいの短い撮影期間だったんですけど、柳瀬役の橋本(淳)さんとの相性がすごくよくて、役として深いところでお芝居ができたと思いました。クライマックスでは、橋本さんともお話ししながら、もうちょっといけるかもしれないなと思って、「このままでもいいけどもうちょっと……」と、監督にセリフを変える提案をさせていただいたりもしました。

ーーこれは映画のラストにも関わってくる問題ですが、実際にお2人は“男女の友情”はあり得ると思いますか?

徳永:私はあり得ると思っています。“あり寄りのあり”です。逆に「男女の友情なんてありえない!」という人が結構いることが、私には意外でした。本当にどちらかが恋愛感情を抱かない限りは、全然あり得ると思うんですよね。恋愛を飛び越えて愛情になることも全然ありますし、たとえそういう関係になってしまったとしても、全然もとに戻れるというか。愛情はそのまま友情に変換できると私は思っています。

穐山:私もあるかもしれないロマンみたいなものを追いかけるつもりで、ありと思いながら映画を作っていましたが、手放しにある派ではないですかね……。私も実際に男友達とはっきり言える人がいるんですけど、そういう人って、ちょっとタイミングがズレて何かあったりしたら、もしかしたら付き合っていたかもしれないような人なんですよね。結局タイミングを逃して、彼氏・彼女の関係性にはなりませんでしたが……。それを“友達”とくくってしまうのは簡単ですけど、そういう単純なものではないじゃないですか。それぞれの関係性があっていいと思ったので、映画のラストも何か新しいものに向かう感じにしました。なので、はっきり「ある」とは言えないけど、「あってほしい」という感じですかね。

徳永:希望を込めて?

穐山:うん。ちょっと色気のある感じの……男女だからそういうこともあるかもしれないけど……っていうニュアンスが私はしっくりくるというか。そういうロマンもありつつ、でもその2人だけの関係もあるというのが、私はすごく魅力だと思います。

ーー今回の『月極オトコトモダチ』もそうですが、ドラマ『恋のツキ』や『フルーツ宅配便』(共にテレビ東京)、映画『疑惑とダンス』など、ここ最近の徳永さんはより出演する作品の幅を広げられている印象です。

徳永:私自身はあまり意識していないんですけど、ありがたいことにマネージャーさんが挑戦的な作品を選んでたくさん持ってきてくださるので、私はどんどん挑戦してみようというスタンスなんです。自分の中では、まだまだチャレンジしなければいけない時期だなと思っています。朝ドラの『梅ちゃん先生』『わろてんか』もそうでしたが、これまでは主人公を脇で支える役柄だったり、受けの芝居だったりが多く、それはそれで楽しかったんです。ただ、今回の『月極オトコトモダチ』もそうですし、『恋のツキ』もそうでしたが、作品の規模を問わず主演を経験をさせていただいたことによって見えたこともたくさんあって。なので、とにかく信じてやってみようという気持ちが今は強いですね。なかなか女性を描く作品に巡り合わなかったところに、『月極オトコトモダチ』や『恋のツキ』など女性を描く作品が増えてきたのも、「期待してもらっているのかもしれないな」というプラスの解釈で、チャレンジ精神を持って頑張りたいと思っています。

ーー5月1日にはご結婚もされました。おめでとうございます。女性を描く作品に出演することが増えてきたタイミングでのご結婚も、何かの巡り合わせのようですね。

徳永:ありがとうございます。そうですね……でも私、正直自分の経歴がちょっとおかしいと思っているんです(笑)。学生の役を演じることが多かった時代があって、女を演じる時代をすっ飛ばして、お母さんを演じることが多くなったという……(笑)。それで、いろんな人から「あなたは本当に女がない」というようなことを言われ続けていたんです。私自身も「女がないんだろうな」「求められていないんだろうな」と思っていたら、30代になって、立て続けにそういう役を演じることが増えてきたので、それはそれで面白いなと。結婚もそうですが、年齢とともに、女性としての変化は必ずあると思うので、それが表現としてどのように変わってくるのか、私自身も今からとても楽しみです。

(取材・文・写真=宮川翔)

■公開情報
『月極オトコトモダチ』
新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺、イオンシネマ板橋ほかにて公開中
出演:徳永えり、橋本淳、芦那すみれ、野崎智子、師岡広明、三森麻美、山田佳奈
監督・脚本:穐山茉由
音楽:入江陽
劇中歌・主題歌:BOMI
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
製作:「月極オトコトモダチ」製作委員会
2018/日本/78分/カラー/ヨーロピアン・ビスタ/STEREO
(c)2019「月極オトコトモダチ」製作委員会
公式サイト:https://tsukigimefriend.com/
公式Twitter:@tsukigimefriend
公式instagram:@tsukigimefriend

『疑惑とダンス』
キネカ大森(東京)にて、6月7日(金)〜6月20日(木)
上田映劇(長野)にて、6月9日(日)〜6月21日(金)
横浜シネマリン(横浜)にて、6月29日(土)〜
元町映画館(神戸)にて、7月20日(土)〜8月2日(金) ※『LOCAL RULE』2本立て
出演:徳永えり、木口健太、小村昌士、福田麻由子、川面千晶、小林且弥
監督・編集:二宮健
撮影:伊藤俊輔
配給:フラーム
2019年/日本/53分
公式Twitter:@giwakutodance

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6月15日(土)

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