【ネタバレあり】古沢良太が語る『コンフィデンスマンJP』の裏側 「都合の良い嘘の方を人は信じる」

【ネタバレあり】古沢良太が語る、ダー子の素顔

 『コンフィデンスマンJP』の勢いが止まらない! 2018年にフジテレビ系でテレビドラマ化された本作は、「ロマンス編」と銘打たれた劇場版が5月17日から公開され、現在大ヒット中。6月6日におこなわれた大ヒット御礼舞台挨拶では映画第二弾が制作されることも発表された。

 本作はダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)たちコンフィデンスマン(信用詐欺師)が毎回、各界の権力者を騙して大金を奪い取る姿を描いた物語。今回の「ロマンス編」では、香港を舞台に“氷姫”と呼ばれる香港マフィアの女帝・ラン・リウ(竹内結子)を罠にハメる。そこに、かつてダー子と恋仲だった天才詐欺師のジェシー(三浦春馬)と、ダー子に騙された日本のゴッドファーザー・赤星栄介(江口洋介)が参戦。騙し騙されのコンゲームが展開される。

 今回、リアルサウンドでは『コンフィデンスマンJP』シリーズの脚本を担当した古沢良太に話を伺った。インタビューは映画の内容を踏まえたネタバレありのものとなっている。虚実入り乱れた詐欺師たちの世界に何故、我々は惹かれるのだろうか?

「騙す演技としてではなくて本気の演技」

ーー『コンフィデンスマンJP』は毎回、脚本が多層的で複雑ですが、今回の「ロマンス編」は、どういう順番で話を組み立てたのでしょうか?

古沢良太(以下、古沢):韓国で起きた水かけ姫やナッツ姫のニュースを見て、こういう女帝を出したいなぁと思って最初にラン・リウを設定しました。次にテレビシリーズで恋愛詐欺を描いてなかったので、今回はやろうと思って。ラン・リウを騙す話から着想し、だとしたら恋愛詐欺のプロフェッショナルを絡めようということでジェシーが生まれました。後は赤星さんが何かしら出て来るだろうと思って。そういう順番で話を組み立てました。

ーー赤星との対決になるということは事前の情報で知っていたのですが、ラン・リウのドラマがあまりにも面白くて、途中で彼の存在を忘れていました(笑)

古沢:忘れますよね(笑)。

ーー冒頭に登場して、終盤まで出てこないです。

古沢:あんまり出てこないので、どうなのかとは思ったのですが、大丈夫でしたね(笑)。

ーーそれだけ物語の力が強かったんだと思いました。書いている立場としては不安でしたか?

古沢:あまり美しくはないですよねぇ。本当は中盤くらいにもう一度出てきた方がよかったのかもしれないですけど。

ーー騙しているパートの演技と本当のシーンの演技の濃さが変わらないので、騙していることを忘れてしまうんですよね。

古沢:むしろ騙してるパートがメインだと思ってもらえるようにがんばって書いてますね。俳優さんたちも騙す演技としてではなくて本気の演技をしてますので、そのおかげということもありますけど。

ーー詐欺であることを忘れて見入ってしまうんですよね。でも途中で崩されるので、複雑な気持ちになるのですが……。

古沢:わかります(笑)。

ーー書いている側が、どういう気持ちなのかとても気になります。本人も入り込んで感動しながら書いているのか、嘘のシーンだからと冷めているのか。 

古沢:入り込んでいるかと言えば、入り込んで書いてますね。まぁ、「感動を返せ」とはよく言われましたけど。

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