金子大地が高いポテンシャルを発揮 『腐女子、うっかりゲイに告る。』での演技アプローチを考察

金子大地が高いポテンシャルを発揮

 その純のもがき、苦しみ、せつなさ、喜び、怒りといったさまざまな感情を金子が身体全体で伝えている。本当に言いたいことを飲み込むかすかな頬の動き、紗枝(藤野涼子)の屈託のない明るさに思わずこぼれる笑み、親友を見つめる優しいまなざし、心から自分の幸せを願っていることが分かるからこそ、よりそのプレッシャーが辛かった母親に痛みを吐き出したときの首元の紅潮、そして自分を押し込めたような佇まい。すべてのシーンに純が宿っていた。

 「逃げてもいい。でもね、自分からは絶対に逃げ切れないよ。いまじゃなくてもいいから、どこかで戦う覚悟を決めなさい」。マコトと通っていたカフェバーのケイト(サラ・オレイン)の言葉だ。自分と戦い始めた純が迎える最終回、その一歩を金子が全身でどう見せてくれるのか、しっかりと目に焼き付けたい。


■望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。

■放送情報
よるドラ『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』
NHK総合 毎週土曜夜11時30分から11時59分 (29分・連続8回予定)
原作:浅原ナオト「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」
脚本:三浦直之
出演:金子大地、藤野涼子、小越勇輝、安藤玉恵、谷原章介 ほか 
演出:盆子原誠、大嶋慧介、上田明子、野田雄介
プロデューサー:尾崎裕和
制作統括:篠原圭、清水拓哉
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/drama/yoru/fujoshi/

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