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『腐女子、うっかりゲイに告る。』が描く“マイノリティの生きづらさ” ラベルを外すことで見えるもの

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 人と違っていることは、怖い。多くの人が歩む一般ルートから外れてしまうことは、勇気のいることだ。なぜなら、日本社会は少数派に厳しい。人と違う人間はあからさまに奇異な視線を向けられ、時に差別や偏見という石をぶつけられる。

 『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』(NHK総合)は、タイトルこそ奇抜だが、中身はそんなマイノリティの生きづらさを、ウェットになりすぎず、バランスのとれた距離感から描写する、濃密で透明度の高い青春ドラマだ。

わかりやすいラベリングが、生きづらい世の中をつくり出している

 主人公・安藤純(金子大地)はゲイの男子高生。ちょっと温度の低い眼差しで世の中を冷静に観察する知的な青年だ。そして、純に恋する女子高生・三浦紗枝(藤野涼子)はBL好きの腐女子。腐女子であることはクラスメイトには一切明かさず、休みの日は同じ腐女子仲間とBLイベントに勤しんでいる。

 ゲイと腐女子。非常にキャッチーなレッテルだけに、「それ以外」の人たちからすれば、彼/彼女らの内面など理解しえないと思うかもしれない。だが、そんなラベリングこそが生きづらい世の中をつくり出しているのだと、このドラマは指摘する。

 第1話で、純のチャット仲間であり、同じくゲイであるファーレンハイト(声:小野賢章)は、「真に恐れるべきは、人間を簡単にする肩書きさ」「人間は、自分が理解出来るように世界を簡単にして分かったことにするものなのさ」と説く。ゲイだから女と結婚することはない。腐女子だからオタクである。そんなわかりやすい「決めつけ」が世の中にはあふれている。

 だけど、そう簡単にすべての筋道が通るわけではないから生きるのは難しい。純には佐々木誠(谷原章介)という年上の恋人がいるし、女性の肉体に性的な興味はわかない。けれど、純はちゃんと結婚をして子をなしたいと願っている。「普通」からこぼれ落ちたように見える純だが、彼には彼の望む「普通の幸せ」がある。そして、それを多くの人には理解してもらえないだろうという失望が、純を孤独にさせている。

 紗枝にしてもそうだ。中学のときに腐女子であることがバレて友人をなくして以来、高校では自分の嗜好をひた隠しにしている。彼女もまた他人には理解してもらえないという失望を抱えた人間のひとりだ。

 今の世の中には、理解してもらえない/受容してもらえないことから発する苦悩が満ちている。だからこそ、「ゲイ」や「腐女子」というラベリングを外してみると、このドラマは「ごくありふれた私たちの孤独と絶望の物語」だという普遍性に気づくはずだ。そして、その孤独や絶望が非常に高い純度で描かれているから、観ている人はつい心が共鳴して叫び出しそうになってしまう。

      

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