トム・クルーズの“トムクル力”を堪能せよ! 『ミッション:インポッシブル』シリーズを総括

トム・クルーズの“トムクル力”を堪能せよ! 『ミッション:インポッシブル』シリーズを総括

デス・ウィッシュ・スタントに本格開眼したトムクル

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(c)PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 そして2010年代も早々に、トムクルさんは1、2、3の総決算的な『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011年)に主演。3からメカニック兼ヒロインのベンジー(サイモン・ペグ)も続投、『アイアン・ジャイアント』(1999年)、『Mr.インクレディブル』(2004年)といったアニメ作品で鳴らしたブラッド・バードを監督に、シリーズ最高とも言える完成度を叩きだした。同時にドバイ・タワーこと世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」の窓に張り付く決死のスタントに挑戦。2のロック・クライミングで片鱗はあったものの、何故かイイ歳になってからデス・ウィッシュ・スタントに本格開眼したのである。

『ミッション:インポッシブル/ローグネイション』(c)PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 『ゴースト~』にて、チームのレギュラーメンバーも何となく決まり、続く『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015年)では監督にアクション職人クリストファー・マッカリーを招聘。トムクルさんとは既に監督×主演コンビとして『アウトロー』(2012年)という快作を放っていただけに、否が応でも期待は高まった。そんな世界中の観客のテンションの高まりを感じ取ったのか、トムクルさんはかつてない無茶アクションに挑む。定番となったカーチェイスや格闘は勿論、なんと飛んでいる飛行機にブラ下がったのだ。恒例の全力ダッシュで離陸直前の飛行機に追いつき、閉まったドアにしがみつきながら「オープン・ザ・ドア!!」と中学生でも分かる英語で絶叫する姿は、完全に演技の領域を超えていた。映画は勿論スマッシュヒット。さらにマッカリー監督はトムクルさんの相性が抜群で、シリーズ初の監督続投が決定する。こうして出来上がったのがシリーズ最新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018年)だ。

最高の『M:I』を決めるのは難しい、だが……

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』 (c)2018 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 『M:I』シリーズは、どれも面白い。それぞれ異なった魅力がある。サスペンスなら1だ、カッコよさなら2だ、テンポなら3だ、トータルなら4だ……最高の『M:I』を決めるのは難しい。しかし、アクションに関してならば、間違いなく『フォールアウト』が最高である。話は冷静に考えると「?」な箇所もあるが、ノンストップで連打されるアクションが凄すぎて、それどころではない。トイレで起きる謎の達人との壮絶な格闘シーン、本当に訓練を積んで飛び降りたヘイロージャンプ、実際に骨折したビルの屋上から屋上への追いかけっこ、トムクルさん本人が操縦してのヘリコプター・チェイス……。撮影中に共演者も「あ、トムが死んだ」と思った瞬間があったようだが、それも仕方がない。まさに命がけのアクション・シーンが満載だ。それでいて、チーム感やサスペンス、ユーモアも充実しており、アクション面だけではなく、総合でも本作が最高だと推す人もいるだろう。ちなみに本作で完全に「トム・クルーズ」=「危ないことをする人」という公式が出来上がってしまい、「次の『M:I』は宇宙に行くのではないか?」と噂されており、公式も否定はしていない(※マジです)。

 さて……ここまで長々と書いてきたわけだが、結局のところ『M:I』シリーズの魅力とは何だろうか? もし一言でまとめるなら、それはトムクルさんの存在に他ならない。『M:I』とは、つまりトムクルさんの度を超えたサービス精神とド根性、リアル人生の状態、生まれ持った暴走気味の性格、ハリウッドの制作環境、時代……その他諸々が重なり合って出来た、唯一無二のシリーズである。たとえば『007』のジェームズ・ボンドは、俳優が変わっても問題はない。しかし、『M:I』のイーサン・ハントはトム・クルーズでなければならない。その時代最高のアクション/サスペンスと、稀代の大スターであるトムクルさんのトムクル力(ぢから)を存分に堪能できること。それこそが『M:I』シリーズの魅力だ。

 最後になってしまったが、このシリーズは各作品それぞれに異なった魅力があり、さらに登場人物の続投はあるが、基本的には1話完結なので、どこから入っても楽しめるという長所もある(『ローグ』と『フォール』は繋がりが強いので、続けて観た方が良いだろうが)。無料で観る機会がある今、とりあえず1本観てみるのがどうだろうか。きっと気に入る1本が見つかるはずだ。

■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿しています。最近、会社に居場所がありません。Twitter

■配信情報
『ミッション:インポッシブル』(1996年)
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:トム・クルーズ、ジョン・ヴォイト、エマニュエル・ベアール、ヘンリー・ツェーニー、ジャン・レノ、ヴィング・レイムスほか

『M:Iー2』(2000年)
監督:ジョン・ウー
出演:トム・クルーズ、ダグレイ・スコット、タンディ・ニュートン、ヴィング・レイムス、リチャード・ロクスバーグ、ジョン・ポルソン

『M:i:III』(2006年)
監督:J・J・エイブラムス
出演:トム・クルーズ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ヴィング・レイムス、マギー・Q、ジョナサン・リス=マイヤーズ 、ミシェル・モナハン、サイモン・ペッグ

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011年)
監督:ブラッド・バード
出演:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、ポーラ・パットン、ミカエル・ニクヴィスト、ウラジミール・マシコフ

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015年)
監督:クリストファー・マッカリー
出演:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ヴィング・レイムス、ショーン・ハリス

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018年)
監督:クリストファー・マッカリー
出演:トム・クルーズ、ヘンリー・カヴィル、ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ショーン・ハリス、アンジェラ・バセット エリカ・スローン、ヴァネッサ・カービー

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