『スター・ウォーズ』をJ・J・エイブラムスは救えるか!? エピソード9初映像から予想できること

『スター・ウォーズ』EP9初映像を読み解く

特報からの新事実

『スター・ウォーズ/ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー(原題)』特報映像

 今回公開された特報は、砂の惑星から始まる。今まで出てきた砂の惑星といえば、アナキンやルークの育ったタトゥイーン、レイの育ったジャクー、『クローンの攻撃』で登場したジオノーシスなど。もしエイブラムスが、『フォースの覚醒』で『新たなる希望』に似たシーンをたくさん撮ったように、今回も『ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー』の対となる『ジェダイの帰還』にオマージュを捧げる場面を用意したのなら、この惑星はジャクーの可能性が考えられる。

 というのは、今回の特報で、ポー・ダメロン(オスカー・アイザック)とフィン(ジョン・ボイエガ)、C-3PO(アンソニー・ダニエルズ)が立っている乗り物が、『ジェダイの帰還』でジャバ・ザ・ハットの一味にルークとハンとチューバッカ(ピーター・メイヒュー)が乗せられた船を彷彿とさせる形状であるからだ。もし同シーンに似せているのであれば、ルークの故郷タトゥイーンに対して、今回はレイの故郷ジャクーを登場させても不自然なことではないだろう。しかしジャクーは、植物がほとんど育たない星。レイの足元に草が落ちている様子を見れば、新たな惑星であることも考慮できる。

 このほかにも、スター・ウォーズオタクのエイブラムスは、特報内に映る範囲だけでも様々なイースターエッグを隠した。まずは、ランド・カルリジアン(ビリー・ディー・ウィリアムズ)。『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』で描かれたように、ハンの愛機ミレニアム・ファルコンには、ランドが愛したドロイドのL3の頭脳が積まれている。一度はハンの手に渡ったファルコン号だが、今回長い年月をかけてようやくランドの元に帰還。これだけでも目頭が熱くなる展開だが、ランドをよく見てみると『ハン・ソロ』で若き頃のランドを演じたドナルド・グローヴァーが着ていた衣装をまとっているのが確認できる。ランドは何十年もの間、あの服を守り続けたのだろうか。スピンオフをスピンオフで終わらせず、しっかり本シリーズにも絡める、粋な計らいを感じる。

 それから、チューバッカ問題も忘れてはならない。映像内に少し映った金のメダル。あれは、『新たなる希望』でヤヴィンの戦いの功績を称えて、レイアがルークとハンに授与したもの。しかし、同じくらい活躍したチューバッカは授賞式で首から下げておらず、「なぜチューバッカだけ貰えないのか」と長年ファンの間で議論になっていた(後出しではあるが、実は『新たなる希望』の直後を描いた2015年のコミック『Chewbacca #5』では、チューバッカがメダルを持っているのが確認できる場面がある)。

 また、エイブラムスは『フォースの覚醒』のチューバッカの扱いを後悔していると告白したことがある。それは、レイアとレイの初対面のシーン。同シーンは、初めて会ったはずの2人が、強いフォースにより固い絆で結ばれていることを表す、重要な場面だ。しかし、偶然にもチューバッカがフレームインしており、まるでレイアが長年の友人を無視し、レイに駆け寄ったようにも見えてしまう仕上がりになってしまっている。エイブラムは同シーンについて、「本当に意図していなかったんだ」と/Filmのインタビューに答えている。制作側も意図せぬ形で理不尽な扱いを受けてきたチューバッカを、エイブラムスなら救ってくれるかもしれない。

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