高橋一生×斎藤工×滝藤賢一が悪戦苦闘の末に掴むものは? 『東京独身男子』早くも結婚に向けて奔走
また岩倉も、父親が病に倒れたことを知らされ、介護をしてくれる人を求めて恋人にプロポーズするも断られてしまう。そして三好は、一度結婚に失敗した経験によって断固として「結婚しない」という意志を貫こうとするものの、突如訪れた性機能の異変によって考えを改めることが予感される。いずれにしても、彼らの結婚に踏み出す動機が極めて自己本位であり(それが現代の男性像だと言われれば否定できない部分ではあるが)、その根本的な考えを改めないまま「結婚」にこぎつけてしまってはあまりにも前近代的な様相に留まってしまうであろうし、「結局結婚できませんでした」となったらあまりにも不透明に陥ってしまうという難しさが垣間見える。
ここで思い出されるのは、2006年に人気を博した阿部寛主演のドラマ『結婚できない男』(フジテレビ系)だ。高スペック&性格に難ありの主人公が結婚に向き合うという点で本作と共通している部分はあるが、徹底して結婚を拒絶しつづけ自由な独身生活を謳歌するユニークさ、そして徹底してその“結婚しない”という意志が最後の最後まで貫き通されていたことに大きな魅力があった。それから13年という歳月が経ち“多様性”という至極当たり前の概念が大きく取りざたされる昨今で、本作の主人公たちが最初に持ち合わせていた脆弱な“あえて結婚しない”論が、どのように“結婚”という方向へ組み直されていくのか。この放送枠の通例通り全7話で進むのならば、次回以降も二転三転した急展開が待っていることだろう。
■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter
■放送情報
土曜ナイトドラマ『東京独身男子』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:15~0:05放送
出演:高橋一生、斎藤工、滝藤賢一、仲里依紗、高橋メアリージュン、桜井ユキほか
脚本:金子ありさ
音楽:河野伸
演出:樹下直美、タナダユキほか
ゼネラルプロデューサー:横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ)岡美鶴(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
制作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日
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