森七菜、『3年A組』で一躍ブレイク 『東京喰種2』『天気の子』話題作にも出演するその魅力とは

『3年A組』で大躍進の女優・森七菜とは

 もっぱらSNS社会への問題提起が大きく取りざたされた本作ではあるが、その根底にあったものはイジメという社会問題に子どもたち自身がどう向き合っていくのかということだったと忘れてはならない。SNSという得体の知れない強大なコミュニティと対になるように明確に存在する“クラス”という狭小なコミュニティ。その中におけるヒエラルキー構造を自分の個性で覆し、その無意味さを説く。堀部瑠奈という役柄はその重要な役割を果たしており、その点では茅野さくら以上に上白石萌歌演じる澪奈と対照的な生徒であったともいえる。

 そう考えると、これだけ群雄割拠なキャスティングの中でこのポジションを任せられた森に対する作り手側の期待度の高さを窺い知れる。ドラマ前半では“その他大勢”の一生徒として埋もれていながらも、後半に向かい役柄の存在感が高まると同時に、強い自信にあふれたオーラが放たれ、それが明確に演技を介して画面に表出しはじめていく。とくにメインキャラクターとして描き出された第8話のクライマックス、今井悠貴演じる西崎が前述の監視カメラ映像がフェイクであることを公表しようとするのを阻止する場面こそそのピークであろう。体格差を気にせずに突っ込んで倒れこみ、澪奈の死への後悔をあらわにしながら、踏みとどまって考えるという柊の教えを力説する。

 突発的に繰り出される大きな動きから、徐々に小さな動きへと変化させていきながらも、対照的に感情の起伏は大きくなっていく。キャスト陣の中でも小柄な印象が強い彼女は、単純なモーションの激しさではなく正攻法の演技メソッドを繰り出すことで自分を大きく見せる。さながら堀部というキャラクターの持つディテールすべてを森が吸い取って、それを森自身のままで大きくアウトプットしているかのような堂々とした演技表現であった。まだ何者にも染まる新進女優でありながら、決して役に呑み込まれている様子はない。それは彼女自身が与えられた役柄を見抜き、考えながら吸収していく力を持っているからではないだろうか。

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