『はじこい』横浜流星に学ぶ恋のアプローチ 深田恭子の心を動かした一途な思いと行動力

『はじこい』横浜流星に学ぶ恋のアプローチ

 3人の全く違うタイプの男性から愛される順子だったが、彼女が“ときめき”を感じていたのは匡平だけだったのかもしれない。呼び方を並べてみても、雅志は「雅志」、山下のことは「山下くん」で、匡平のことは「ユリユリ」だったり「ユリヘイ」だったり、そのときによってあだ名で呼んでいる。

 子どもの頃から勉強で母親の期待に応えるために必死になっていた順子にとって、誰かに強く期待する気持ちがどういうものなのかを教えてくれたのが匡平だ。そして、ただ愛されるだけでなく、この人のために自分が何を出来るのだろうかと真剣に考えさせてくれた初めての相手でもある。

 環境や人生経験において、雅志と山下は、順子より一歩先にいる存在であった。雅志は従兄妹であること、山下は元嫁の存在がいることなど、2人には順子への想いと同時に、常にそこには一種の“迷い”があった。

 一方、匡平は順子の隣にいて、ともに学び、ともに成長を遂げる存在であった。東大受験という共通の目標があり、憧れがあり、夢中になることで、そこにときめきが芽生えた。恋をすると誰もが悩み、迷うが、ユリユリこと匡平の場合は、誰かを本気で好きだからこそ、一度決めたら迷わない。自分の人生に迷っていた順子のような大人には、初々しくて、まっすぐで、迷いがない匡平のアプローチは、何よりも強く響いた。

 努力することも、ときめくことも素晴らしい。そんな思いを改めてこのドラマは私たちに教えてくれた。最終回には、どれほどのときめき、胸キュンが仕掛けられているのか、心の準備が必要だ。

■池沢奈々見
恋愛ライター、コラムニスト。

■放送情報
火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』
TBS系にて、毎週火曜22:00~
出演:深田恭子、永山絢斗、横浜流星、中村倫也、安達祐実、石丸謙二郎、鶴見辰吾、生瀬勝久、檀ふみ、高橋洋、皆川猿時
原作:『初めて恋をした日に読む話』持田あき(集英社『クッキー』連載)
脚本:吉澤智子
プロデューサー:有賀聡(ケイファクトリー)
演出:福田亮介ほか
製作:ケイファクトリー、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/hajikoi_tbs/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる