長谷川博己以外に適任者なし! 『まんぷく』愛されキャラ、立花萬平の魅力

『まんぷく』愛されキャラ、立花萬平の魅力

家族の中の萬平

 第64話で、ダネイホンがどんどん売れていく状況を受けて、福子は「萬平さんの夢が叶ってきましたね」と言う。しかし、萬平は福子のその言葉をこう訂正する。

「僕の夢じゃない。僕と福子の夢だ」

 萬平のこの言葉が表すように、福子と萬平はいわば二人三脚で歩んできた。確かに、ダネイホンの開発に没頭し過ぎる萬平に、福子がうんざりしてしまうときもあったものだ。しかし、萬平と福子で目指している方向が違うわけではない。“僕と福子の夢”と言っているように、萬平も萬平なりに福子のことをかけがえのないパートナーとして認識しているはずなのだ。

 萬平と福子とのやり取りだけでなく、鈴(松坂慶子)との掛け合いも面白い。思えば、なんだかんだ言って福子と同じように萬平の進む道についてきた鈴。どんどん新たな方向へと進む萬平に不平を溢したり、源義経と繋がりがあるか否かで揉めたりもしてきた。時折、萬平も鈴に辟易してしまうことはあったが、萬平はこれまでかなり上手く鈴と接してきたと言えよう。

 福子、あるいは源と幸の2人の子どもたちといった家族との触れ合いの中で、萬平という人間が持つ温かさがよく現れる。特に、たびたび描かれてきた家族と一緒に布団に横たわるシーンで、萬平は家族を思う温かい表情でいることが多い。福子と我が子をこよなく愛する萬平が最もよく見える。

 無謀なところはありはするものの、萬平がこれだけ魅力的で愛されるキャラクターとなったのは、演じる長谷川博己の力が何よりも大きいところだろう。近作のスペシャルドラマ『都庁爆破!』(TBS系)や映画『シン・ゴジラ』で演じたキャラクターにはなかった“緩さ”を見せつつ、大人の色気も時折放つ。ある種の幼さと男としての器の大きさを併せ持つ萬平。長谷川博己ほどの適任者はほかにいなかったように思う。

 昨年10月にスタートし、ついに後半戦が始まった『まんぷく』。放送開始から3カ月が経った今も、福子や萬平たちがどんな道を歩んでいくのだろうかとワクワクするのは、ひとえに福子たちが次々と新たなチャレンジをしているからに他ならない。今年も『まんぷく』が楽しみだ。

(文=國重駿平)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、松下奈緒、要潤、大谷亮平、桐谷健太、瀬戸康史、岸井ゆきの、松井玲奈、深川麻衣、さとうほなみ、玄理、矢柴俊博、加藤雅也、牧瀬里穂、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

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