SABU監督が語る、『jam』撮影裏話と劇団EXILEの個性 「全員が本気で向かってきてくれた」

SABU監督が語る、『jam』撮影裏話

 『MONDAY』『蟹工船』『天の茶助』のSABU監督が、劇団EXILEと組んでオリジナル脚本で放つ『jam』。青柳翔演じる場末のアイドル演歌歌手ヒロシと、町田啓太演じる意識不明の恋人の回復を一心に願う青年タケル、鈴木伸之演じるヤクザへの復讐を誓って刑務所から出所したテツオの3人を中心に、“因果応報”をめぐる物語が交錯していく。

 SABU監督らしさに劇団EXILEの色が加わり、「おもしろい!」と評判が上がっているなか、SABU監督を直撃。本作にまつわる裏エピソード、そして青柳、町田、鈴木はもちろん、劇団EXILEのメンバー全員への印象も語ってもらった。

「シリーズ化できたらおもしろい」

――劇団EXILEメンバー総出演の作品ですが、企画が立ち上がった経緯を教えてください。

SABU:実は別の作品の企画がLDHさんと進んでいたんです。去年の6月くらいから始めようと思っていたんだけど、撮影が延びることになった。それで空いた期間に、青柳くん、町田くん、鈴木くんの3人を主役に新たに何か考えられないかという話が出て、慌てて脚本を書いて、去年の11月くらいにはクランクインしたんです。

――3人が出演するというお話から、結果的にメンバー総出演になっていったと。

SABU:最初は3人でした。町田くんと鈴木くんには会ったことがなかったので、まずは会ってみて、イメージが湧いて面白いものを書けたらやると。でも、挑戦状をいただくのは俺も好きだし、絶対に面白いものを書いてやろうと思いました。

――オリジナルで、しかも入り組んだストーリーにも関わらず、町田さん、鈴木さんとお話してから、あっという間に脚本が出来上がったと聞きました。

SABU:そうですね。書くのは得意ですから(笑)。書いている途中に、劇団EXILEのメンバーをあと何人かという話が出てきて、登場人物として何人出せるかなと思っていたんですけど、どうせなら全員のほうがいいだろうと。いろんなキャラクターを出して、シリーズ化できたらおもしろいんじゃないかと思ったのも理由のひとつです。

――シリーズ化する予定なんですか?

SABU:そうできたらいいなとは思ってますね。

――3人のキャラクターがとてもユニークです。青柳さんとは前作『MR.LONG/ミスター・ロン』でも組んでいましたが、どうして場末のアイドル演歌歌手に?

SABU:青柳くんは『MR.LONG/ミスター・ロン』でベルリン国際映画祭に行ったときに着ていたタキシードが演歌歌手っぽくて。そう見えていいのかなっていう微妙な感じがよくて(笑)。歌を歌えるのは分かっていたし、こういうのも得意かもと。そしたらすごくハマりましたね。最初はヒゲがある感じを考えてたんだけど。

――ないほうが、好感度が高い感じがあります。

SABU:そう。だから結局そっちの方向で行きました。よかったですね。

――活き活きしていました。筒井真理子さんが演じたファンに、ヒロシが監禁されてしまうシーンも、大変な状況なのにどこか笑ってしまうという。

ABU:本気かどうかっていうギリギリのところというね。最初はでっぷりしているおばちゃんで考え始めたんだけど、どこか恋愛関係になってもおかしくないくらいの雰囲気があったほうがおもしろいかなと思って、筒井さんになったんです。ぴったりハマりましたね。ヒロシとおばちゃんたちとのトークトゥミーという会があって、そこで「本当のファン」や「世界一のファン」という言葉も出てきたり。

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――そこの関係もおもしろかったです。青柳さんは『MR.LONG/ミスター・ロン』でも走っていましたが、今回はシャッター商店街で疾走していました。SABU監督というとやはり疾走ですが、自然にそうしたシーンが浮かぶのでしょうか? それとも意識的に入れているのですか?

SABU:両方ですね。「今回も走ってましたね」というのは、絶対に言われますし。もうそういうイメージはしょうがない。だから後半に入れていこうと。ある出来事が、最初は町田くんの目線から描写されるのですが、後半は青柳くんの目線になる。

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