年末企画:藤原奈緒の「2018年 年間ベストドラマTOP10」 鮮烈かつ多幸感に溢れる傑作
リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2018年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、国内ドラマの場合は地上波および配信で発表された作品から10タイトルを選出。第3回の選者は、今年ドラマに関する記事を数多く執筆したライターの藤原奈緒。(編集部)
1.『女子的生活』(NHK)
2.『アンナチュラル』(TBS)
3.『あなたには帰る家がある』(TBS)
4.『昭和元禄落語心中』(NHK)
5.『おっさんずラブ』(テレビ朝日)
6.『半分、青い。』(NHK)
7.『中学聖日記』(TBS)
8.『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-』(フジテレビ)
9.『anone』(日本テレビ)
10.『バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~』(テレビ東京)
志尊淳主演『女子的生活』は全4話という短さで、生きづらい現代の世の中をさりげなく示しつつ、トランスジェンダーのヒロイン・みき(志尊)が同級生・後藤(町田啓太)と共同生活を送ることで起こるちょっとした変化を描いた、鮮烈かつ多幸感に溢れる傑作。町田の好演が光った。
野木亜紀子脚本・塚原あゆ子演出、石原さとみ主演の『アンナチュラル』は1話完結型の法医学ミステリーでありながら、働く女性を取り巻く問題提起、社会問題を織り込みつつ、遺体1人1人、そして登場人物たちそれぞれの物語が、終盤にかけて少しずつ繋がっていく構造が見事だった。
『あなたには帰る家がある』は、木村多江の怪演が特に強烈だったが、4人のオトナたちによる上質な心理劇、小道具のように散りばめられた映画の数々が印象的だった。「夫婦あるある」という共感要素を詰め込みながらも、不倫話から始まる、全くタイプが異なる2組の夫婦のあり方をとことんまで突き詰めた秀作。
『昭和元禄落語心中』は、実に見事な山崎育三郎の落語、そして、若い頃から老いて死に至るまでを演じきった岡田将生の色気と凄み、引き継いだ竜星涼の愛嬌と、俳優たちに目が釘付けになる1本だった。6話で華々しく散った助六(山崎)とみよ吉(大政絢)、残される菊比古(岡田)の3人の場面も鮮烈だったが、生きながらえてしまった八雲(=菊比古)の、“死神”助六を前に、生きることの苦痛を語りながらも生に縋ってしまう人間の業は、巧妙にリンクし続けた落語の世界としっかりと交わっていた。