日本初上陸のプレミアムシアター「ドルビーシネマ」を体感 Tジョイ博多内覧会レポート
きらびやかな外観の一方で、シアター内は黒で統一されたシックなデザイン。壁面に施された青い電飾以外は、全て黒で統一され、ビスタサイズの巨大ホワイトスクリーンが宙に浮かび上がっているかのよう。また場内を見渡すと、肝心なものが見当たらない。壁、天井にスピーカーが存在しないのだ。実はドルビーシネマは、壁にスピーカーを張り付け、さらにその内側に壁を作るというコクーン構造。観客とスクリーン以外の視覚ノイズを一切排するために徹底されている。
座席は、スタジアムのように湾曲して配され、前方席は背もたれに傾斜をつけ、どの席でも見やすいように配慮がなされている。段床の差も申し分なく、前の人の頭が被る心配もない。座ってみると、腰の部分にクッションが厚くあてがわれており、長時間座っても疲れなさそうだ。
内覧会では、登壇者のあいさつに続き、ドルビージャパン株式会社・代表取締役社長の大沢幸弘氏がドルビーシネマの魅力をプレゼン。ドルビービジョンは、最先端のレーザープロジェクターによるHDR(ハイダイナミックレンジ)映像としてハイライト部分はより明るく、暗部はより深い諧調で黒がグッと締まり、色表現が豊かなリアリティー溢れる映像を楽しむことができる。
映像の豊かさは、プロジェクターの表示できるコントラスト比によって決まる。従来のコントラスト比1800:1では、黒を投射したスクリーンの前に人が立つと影ができるが、ドルビービジョンは100万:1のコントラスト比を実現。真の黒を再現し、実際にスクリーンの前に人が立っても影ができることはない。白はよりくっきりとなり、黒が締まった映像が体験できるとのことだ。輝度は、従来の14フットランバード(フットランバード:映画館のスクリーン反射輝度の単位)に比べ、2倍以上の31フットランバードでより明るい映像が楽しめる。
ドルビーアトモスは、オブジェクトオーディオによる立体音響で既に世界4000以上のスクリーンに導入。採用された公開作品は1000以上、映画製作者は劇場の隅々にサウンドを配置し、自由に移動させることができる。邦画でのドルビーシネマでの相談もすでに来ているとのことだ。
またドルビーシネマ3Dでは、2台のプロジェクターを利用してカラーホイルを使用せず、右目用、左目用それぞれの映像を投射する。従来のプロジェクターでは3~7フットランバード、ドルビーシネマ3Dでは14フットランバードを実現。体験してみて驚いたのは、非電池内蔵型の3Dメガネにも関わらず、頭を傾けても映像がズレないのだ。
従来の偏光方式の3Dメガネでは水平状態でないとピントが合わず、IMAX3D、RealDなど例外なく正しい姿勢でスクリーンを見ないと3D効果は発揮されなかった。そのため、3D上映では、3D効果が得にくい一部の席を販売しないという劇場も少なくない。しかし、ドルビーシネマ3Dでは、色偏光の応用により、どの席からどの角度でも正しい効果が得ることができる。地味ではあるが、3D上映の一つの大きな課題をクリアしたと言えるだろう。