長谷川博己、これまでの朝ドラとはひと味違う魅力に 『まんぷく』萬平役で見せる“青い”20代

長谷川博己、『まんぷく』で演じる青い20代

 映画・ドラマ・演劇と、それぞれの垣根はなくなってきているようにも思えるが、演劇の場合は演者と観客の間に距離があり、映像以上に“より分かりやすく”、“より伝わる”演技を求められることが多い。幅広い世代をターゲットとした朝ドラは、この“より伝わる”演技を強く求められている印象がある。ほかのドラマ作品などと見比べてみると分かりやすいだろう。本作では、先に述べた橋爪や、歌舞伎役者の片岡愛之助らが主要ポジションで脇を固めているのも印象深い。そして朝ドラといえば“若手俳優の”登竜門的なイメージがあるが、そんな道をたどってきた長谷川がヒロインの相手役という大役を務めているというのは、安藤が朝ドラ史上初の「ママさんヒロイン」であることも含め、これまでの朝ドラから一新させていきそうな予感もある。

 さて、前作『半分、青い。』では、佐藤健が10代の高校生からアラフォー男性までを演じきったように、一人ひとりの俳優が、一人のキャラクターの年齢を幅広く演じるのも朝ドラの魅力の一つだ。しかしやはり最もしっくりくるのは、演じるキャラクターの年齢が演者の実年齢と近いときだろう。今作で長谷川は、自身の実年齢より下の、20代の萬平からのスタートだが、やがて萬平が長谷川の実年齢に追いつき、さらにはそれを超えていく。長谷川演じる萬平が、これからどんな年齢の重ね方をするのか大いに楽しみである。ここもまた、これまでの朝ドラとはひと味違う魅力となるに違いない。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平/桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

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