北川景子が語る、野木亜紀子脚本『フェイクニュース』で感じたこと 「正しい情報を拡散しないと」
「ネットはきちんと使えばすごくいいもの」
ーー自分の信念を持った東雲樹のように、北川さんは“強い女性”を演じることが多いように感じます。
北川:確かに弱い役はあまり演じたことがないかもしれません。ずっと謝っているような役を演じたことはないですね(笑)。
ーーキャスティングする側のイメージもあるかと思うのですが、自分が“強い女性”だという意識は北川さん自身にもあるのでしょうか?
北川:自分自身“強い”とは思うのですが、強さの種類が違うかなと。私がこれまで出演させてもらってきた作品は、お仕事ものも多かったので、“バリキャリ”のような、バリバリ働いて、自分の信じる道を突き進む、見るからにキャリアウーマンという役柄が多い気がするんです。一方私は、どちらかというと“我慢強い”の強い。ゴリゴリ前に出るような強さではなく、言いたいことがあっても我慢したり、つらくても何とか乗り越えられるだろうとじっと耐えたりすることが多いんです。なので、強いのかもしれないけれど、役柄で演じてきたような強さではないかもしれません。あと、私が“強い”というのは顔の印象もあるかもしれません。前に前に行くような、強い顔なんだと思います(笑)。
ーーその“強さ”を裏付けるように、劇中ではテコンドーも披露されていましたね。
北川:もう大変でした。何回も撮ったので迷惑もかけてしまって……。これまでもアクションは結構やってきたのですが、テコンドーとなるとまた独特で、ものすごく難しかったです。練習のときはうまくできても、いざ本番で顔も作って……となると、なかなか足が回らなかったりで、「(杉本)哲太さんの首、大丈夫かな」と次に会わせる顔がないレベルでした。現場ではもっとバシッと決めたかったなと反省したんですけど、完成版を観たら編集でカッコよくなっていたので、そこは安心しました(笑)。
ーー“フェイクニュース“という題材について、野木さんが会見で「なかなか民放で作るのは難しいものがありました」と話していましたが、これまで民放各局のドラマに出演してきた北川さんは、民放でこの題材を扱う難しさを感じることはありましたか?
北川:そうですね……。民放だと提供が入るので、スポンサーの方に嫌がられる題材かもしれないなとは思いました。できたとしても、細かく修正が入る気もするので、NHKさんだからこそ切り込んでやれる題材だなというのには私も同感です。民放にもこういうドラマを作りたいという方ももちろんいらっしゃるとは思いますが、なかなか企画が通りづらいところがあるのかもしれません。
ーードラマの中で描かれる、Twitterを中心に情報がものすごい勢いで拡散されていく様子はとてもリアルでした。先日、北川さんが『オールスター感謝祭』(TBS系)に生出演した際、“俳優力チャレンジ”の企画の中で4分間まばたきをしなかったことが大きな話題となり、情報があっという間に拡散されていったことにもつながりを感じます。
北川:本当に怖かった……(笑)。あの情報の拡散は早かったですね。私はあの後も生で番組に出ていたので全然知らなかったんですけど、「Twitterのトレンド、北川景子が1位になってるよ!」とか「Yahoo!のトップニュースになってるよ!」とメイクさんに言われてビックリしましたし、TwitterやYouTubeでも動画が回っていて、「怖っ!」と思いました(笑)。
ーーあっという間でしたからね(笑)。
北川:とにかく早いですよね。ネットって報道のスピードがものすごく早いので、そういう意味では、きちんと使えばすごくいいものだと思うんです。いいニュースがすぐに拡散されたり、天候による交通の乱れもすぐに知ることができたり……。そういうふうにインターネットにもいい面があって、私たちの生活の中になくてはならないものになっているなと感じます。それだけスピードが早く拡散してしまうものなので、だからこそ広まってしまって「嘘でした」とならないように、正しい情報を拡散しないといけないなと思います。身をもってネットの影響力を改めて感じました。
(取材・文=宮川翔/写真=阿部桜子)
■放送情報
『フェイクニュース』
NHK総合にて、10月20日(土)に前編、27日(土)に後編を21:00~21:49に放送
作:野木亜紀子
音楽:牛尾憲輔
出演:北川景子、光石研、永山絢斗、矢本悠馬/新井浩文、岩松了、杉本哲太
演出:前編=堀切園健太郎、後編=佐々木善春
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:北野拓
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/dodra/fakenews/
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