永野芽郁が手にしたヒロインしての大きな“幅” 『半分、青い。』鈴愛役の成長を振り返る

永野芽郁が手にしたヒロインしての“幅”

『僕たちがやりました』(c)関西テレビ

 そして『ピーチガール』では、主役である山本美月演じる正ヒロインの“恋”を奪うためには手段を選ばない、“少女マンガ史上最悪の小悪魔”とも評される裏ヒロイン・柏木沙絵を好演。それは小悪魔というよりも手に負えないレベルの堂々たる悪女っぷりで、観ていて同情の余地すら感じられないほどのものであった。続く『ミックス。』でも、新垣結衣の恋敵を憎らしくもフレッシュに演じ上げている。テレビ作品で言えば、連ドラ初主演作となった『こえ恋』(2016/テレビ東京系)や『僕たちがやりました』(2017/カンテレ・フジテレビ系)などでヒロインとして健闘。作品を背負って立つ若手女優のひとりとして、ヒロイン的センスを十分に磨いてきたのだろう。

 この『半分、青い。』では、それらの経験を活かしつつ、いくつもの高いハードルを越えてきている印象だ。鈴愛の高校時代のお相手・小林を演じる森優作にはじまり、ゆるふわ男子・朝井正人役の中村倫也、愛すべきダメンズ・森山涼次を演じる間宮祥太朗、そして、幼なじみの萩尾律に扮する佐藤健といった、それぞれタイプ違いの男子たちとの恋模様を演じている。それも演じる永野自身の実年齢を越え、そのどんどん先へと年齢を重ねながらだ。

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 今もっとも気になるのは、やはり佐藤演じる律と鈴愛の関係の行く末。鈴愛として、演じる永野として、見事に有終の美を飾ることとなるのだろうか。今のところはまだ今後の出演映画の情報など出てはいない彼女だが、本作で、縦(年齢)も横(恋の相手のタイプ)も幅広くヒロイン像を体現できたことは、女優としての強力な武器となりそうだ。鈴愛の恋路の結末は、その大きな一歩となるだろう。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
平成30年4月2日(月)~9月29日(土)<全156回(予定)>
作:北川悦吏子
出演:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一/佐藤健、原田知世、谷原章介/奈緒、矢本悠馬、石橋静河、余貴美子、風吹ジュン、中村雅俊、上村海成/清野菜名、志尊淳、山崎莉里那、小西真奈美
制作統括:勝田夏子
プロデューサー:松園武大
演出:田中健二、土井祥平、橋爪紳一朗ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/

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