柳楽優弥、“鬼の副長”土方役で見せたベテランの風格 スケールアップした『銀魂2』を象徴する柱に
そういった部分は、この“鬼”の土方でも活きている。発するセリフで人物像をかたちづくるというよりも、眼差しひとつや佇まいの方がより雄弁にキャラの性格を物語る。しかし、本作の土方は敵方の策略により、まさかの人格を乗っ取られるという事態に。“鬼”から“ヘタレ”へと変わり、柳楽の演技は“硬”から“軟”へと転換。劇場には穏やかな笑い声が上がる。“鬼”と“ヘタレ”、“硬”と“軟”とがコロコロ変わるさまに翻弄されながらも、多くの観客がこのパフォーマンスに惹きつけられていた感触を持った。
柳楽といえば、独特な歌詞と歌声が耳に残るWOWOWのCMでの好演も印象的だ。有村架純との掛け合いで見せるショートストーリーがこれまでに5つ放映され、「WOWOWに入ろう」というメッセージをコミカルに伝えながらも、若いカップルの心の機微を2人で表現してきた。思わず苦笑を誘われる展開ながら、そのひたむきな姿が存外グッとくる。
これだけでなく、「LINEバイト」のCMや「一平ちゃん夜店の焼そば」のCMでもコミカルな姿を披露。さらに、今年で発売40周年のギャッツビーの新イメージキャラクターに新田真剣佑とともに起用され、彼らが主演の映像作品『GATSBY COP』が公開される。こちらもまた陽気な柳楽が見られることに期待である。
『誰も知らない』(2004)での俳優活動開始から気がつけば芸歴も14年を数え、今やもう、涙を誘えば笑いも確実に取る、若くしてベテランの風格すら漂う俳優の1人となっている柳楽。寡黙でカリスマ性のあるイメージから、どんどんキャッチーなパブリックイメージも拡げつつあるのではないだろうか。今年は『響 -HIBIKI-』や『散り椿』と、出演した話題作の公開を目前に控え、さらに2019年には主演作『夜明け』の公開なども控えている。いま頻繁に見かける陽気な表情とはまた別の顔を多く見せてくれそうだ。
■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。
■公開情報
『銀魂2 掟は破るためにこそある』
全国公開中
出演:小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥、三浦春馬、窪田正孝、吉沢亮、勝地涼、夏菜、戸塚純貴、長澤まさみ、岡田将生、ムロツヨシ、キムラ緑子、佐藤二朗、堤真一、中村勘九郎、堂本剛
原作:『銀魂』空知英秋(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
脚本・監督:福田雄一
音楽:瀬川英史
主題歌:back number「大不正解」(ユニバーサル シグマ)
製作:映画「銀魂2」製作委員会
制作プロダクション:プラスディー
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)空知英秋/集英社 (c)2018 映画「銀魂2」製作委員会
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