オダギリジョー負傷に廃部危機 土屋太鳳『チア☆ダン』第6話で最終回的ムードが漂い始める

『チア☆ダン』最終回的ムード漂う

 チアダンス部の存続の可否を一任された桜沢教頭は、自宅のリビングに飾られている娘・麻子の写真を見て思い悩む。商店街の祭りでチアダンスを踊り満面の笑みを浮かべる麻子と、対照的に浮かない表情をしている高校の入学式での写真。初めは頭が堅いだけだった桜沢教頭は、娘の変化によって彼自身にも徐々に変化が生じつつも、教頭という自身の立場との間に常に揺れていたわけだ。

 そんな彼が太郎の病室を訪ねていくシーンで、太郎から語られる教師をしている理由と、Rocketsへの想い。「彼女たちがどこまでも、望むだけ高く飛べるように手助けしたい」。この言葉は教師として、であると同時に、Rocketsの「父親」としての言葉とも取れる。その言葉に心動かされた桜沢教頭は、顧問代理を引き受ける。いわば、太郎からRocketsに対する父性が桜沢教頭に分け与えられたといったところだろう。

 それと同時に、太郎という「父性」を失ったことで、自ら成長を続けるRocketsのメンバーたち。とりわけ大きな変化が生まれたのは、感情を表に出すことが苦手な琴(志田彩良)であるのは言わずもがな。彼女がこれまで自分の意思で何も決めることができなかったのは、日舞の家元という親の存在があったからだろう。そして、毎週のように喧嘩をしていた彼女たち全員が、今週のエピソードでは揉め事ひとつ起こさなかったというのも、彼女たちの成長を象徴している。もっぱら最終回直前の雰囲気を漂わせた展開は、一気にRocketsを精神的な成長へと導き、終盤に向けての弾みをつける重要な役割を果たしたということだ。

 それはそうと、太郎の入院する病室の窓の下で、Rocketsのメンバーが、すっかり定番となったサンボマスターの「できっこないを やらなくちゃ」を踊るシーン。このくだりを見ると、96年に制作されたイギリス映画『ブラス!』の中で、入院した指揮者の病室の外でブラスバンドの面々が「ダニー・ボーイ」を演奏するという名シーンを想起させる。土屋が主演を務めた『青空エール』や、清水尋也が出演していた『ハルチカ』など、その後様々な作品でオマージュされている名場面が、チアダンスとなってオマージュされるというのは、ちょっぴり新しさを感じるものだ。

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■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『チア☆ダン』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜放送
出演:土屋太鳳、石井杏奈、佐久間由衣、山本舞香、朝比奈彩、大友花恋、箭内夢菜、志田彩良、オダギリジョー、佐生雪、溝口恵、福地桃子、堀田真由、伊原六花、足立佳奈、石崎なつみ、坂ノ上茜、守屋ことり、八木莉可子、阿川佐和子、木下ほうか、高橋和也、紺野まひる、松本若菜、本多力、森矢カンナ、木原勝利、広瀬すず、新木優子
原作:映画『チア☆ダン』製作委員会
脚本:後藤法子、徳尾浩司
プロデューサー:韓哲
協力プロデューサー:高山暢比古
演出:福田亮介、金子文紀
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/cheerdan_tbs/

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