吉沢亮、オールマイティな活動の奥に滲む“貪欲な意志” 連ドラ、映画、CMと大活躍の状況を読む

吉沢亮、幅広い活動に通じる“貪欲な意志”

 現在公開中の映画『猫は抱くもの』では、沢尻エリカと共演し、自分は人間で、沢尻扮するヒロインの恋人だと信じているロシアンブルーの“猫”の良男を演じた。演劇の舞台を意識した一風変わった犬童一心監督の世界観のなかで、特殊なメイクなどを一切せずに、“猫”、なかでもロシアンブルーだと伝わる良男に説得力を持たせている。

 こちらも公開中の、久保帯人の大ヒットコミックを佐藤信介監督が実写化した『BLEACH』では、黒崎一護役の福士蒼汰と再共演。『仮面ライダーフォーゼ』ファンを喜ばせているだけでなく、複雑な思いを抱えつつ、一護と共闘する石田雨竜を好演。もっと吉沢のアクションを観たかったと思えるのは、それだけ魅力的に映った証拠だ。

 テレビドラマも2本が放送中。プライムタイムドラマ『サバイバル・ウェディング』(日本テレビ系)では、波瑠演じるヒロインが恋する広告代理店勤務のイケメン柏木祐一役を務めている。意外なことにこれまでほぼなかった、爽やかなイケメンを直球で演じている貴重な作品だ。

 主演を務める深夜ドラマ『GIVER 復讐の贈与者』(テレビ東京系)では、打って変わって、生まれつき、人間らしい感情を持ち合わせていない復讐代行業者の義波を演じている。人間の心が欠落した復讐代行業者ということで、クールな役柄と思いきや、依頼人の言葉を代弁したり、復讐実行のために女装するなど、さまざまな顔を見せる。第1話から、ゲスト出演の吉村界人との激しいぶつかり合いで、唾を飛ばしまくりながら(依頼者の)感情を噴出させるなど、熱演しており、凝った演出や映像と相まって、吉沢の演技力を堪能できる。

 さらに今後は前述の『銀魂2 掟は破るためにこそある』のほか、少女コミックの映画化『あのコのトリコ。』が公開。また来年4月スタートのNHKの連続テレビ小説『なつぞら』で広瀬すず演じるヒロインなつの友人で画家志望の山田天陽に扮することが発表されている。いよいよ朝ドラに進出を果たす吉沢。現在のブレイクを上回る、大きなステップアップに繋がるに違いない。

 実はインタビューで、自分をネガティブだと語っている吉沢。芝居が上手くいかないと、すでに撮り終わったシーンでも練習を続けてしまうことがあるという。もともとは役者に興味を持っていなかったという吉沢だが、多くの作品を経ての、その姿勢は、ネガティブというより、芝居に対する“貪欲さ”の現れだと感じる。美しい顔の奥に秘めた貪欲さに、ますます才能が開花していくはずだ。

■望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。

■放送情報
『サバイバル・ウェディング』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00~放送
出演:波瑠、伊勢谷友介、吉沢亮、高橋メアリージュン、ブルゾンちえみ、前野朋哉、小越勇輝、奈緒、石田ニコル、ついひじ杏奈、山根和馬、風間俊介、須藤理彩、野間口徹、生瀬勝久、財前直見、荒川良々
脚本:衛藤凛
原作:『SURVIVAL WEDDING(サバイバル・ウェディング)』大橋弘祐著(文響社)
音楽:木村秀彬
出演:佐藤東弥
プロデューサー:鈴間広枝、大倉寛子
制作協力:日テレアネックスオン
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/survival-wedding/

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