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新鋭フランス女性監督がバイオレンス描写に込めた美意識 『REVENGE リベンジ』インタビュー

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 激しい痛みを伴う、苛烈な映画だ。フランス映画界の新鋭女性監督コラリー・ファルジャによる長編映画デビュー作『REVENGE リベンジ』は、“リベンジ・スリラー”というジャンル映画に真正面から取り組みながらも、モデル出身の新人女優マチルダ・ルッツをヒロインに据え、容赦のないバイオレンス描写に挑んだことで、観る者に強い印象を残す仕上がりとなった。

 物語は、砂漠地帯に建つ快適そうな別荘で、ほとんど裸に近い格好の男女が互いを求め合うシーンから幕を開ける。2人は不倫関係にあり、女(ジェニファー)は年上の裕福な男(リチャード)との情事に背徳的な歓びを感じているのか、その仕草はどこか悪戯っぽい。派手なピンク色の星型の耳飾りが、遊び盛りの年齢であることを物語っている。一方の男は、家族に平然と嘘をつき、女に安い愛の言葉を投げかける。こうした関係性は、どこの国でもさして変わらないのだろう。

 悲劇は、男の狩猟仲間であるスタンとディミトリが別荘を訪れたことから始まる。挑発的な服装で過ごすジェニファーに欲情したスタンは、リチャードの留守に彼女を襲う。帰宅したリチャードは、彼女の身を案じるどころか、自己保身のためにその事実を忘れるように促すのだが、ジェニファーはそれを聞かずに助けを求めて逃げ惑う。そして男たちは、口封じのためにジェニファーを崖から突き落とし、哀れなジェニファーは崖下の木に串刺しになるのだった……。

 コラリー・ファルジャ監督は、ジェニファーの人物造形について、「何の取り柄もない、ごく普通の女の子であることが重要だった」と語る。

「長編映画を撮るためにいろいろと考える中で、彼女の人物像が浮かび上がってきました。この作品は、フェニックス(不死鳥)を重要なモチーフとして捉えていて、復活や再生を描いています。どこにでもいるような平凡な女の子が、劇的な状況に巻き込まれることで内なる力に目覚めて再生し、強い女性へと変貌していく、その過程を見せたかったんです。そのためには、バイオレンス描写に激しさが必要でした。ジャンル映画というと、単にバイオレンスの程度が話題になりがちですが、なぜ激しい描写が必要なのか、そこに確固とした美意識のある映画を目指しました」

 何とか一命を取りとめたジェニファーは、自力で串刺し状態を脱し、拾い集めた道具と、前日にリチャードから受け取っていた麻薬の力で、自らの身体を治療し、男たちに復讐することを誓う。

「クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』や、ジョージ・ミラー監督の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』、パク・チャヌク監督の『オールド・ボーイ』など、様々な映画を参照しましたが、もっとも大きな影響を受けたのはテッド・コッチェフ監督の『ランボー』です。主人公のランボーは、銃に打たれた傷を、誰の力も借りずに自力で治療します。自分の身体は自分で再生させるのだという強い意思が重要で、肉体的あるいは精神的な痛みを自力で乗り越えることでこそ、人は別の自分に生まれ変わることができます。そこには残酷さや痛みが伴いますが、それがなければ彼女の再生もありえません」

 主演のマチルダ・ルッツ自身も、撮影を通じて強い人物へと変わっていったという。

「砂漠での撮影は過酷を極めました。昼夜の激しい寒暖差は容赦なく体力を奪いましたし、虫たちは絶え間なく私たちを狙いました。加えて、暴力的なシーンが多かったので、ジェニファーを演じきるのは並大抵のことではなかったと思います。しかしマチルダは、ジェニファーとして数々の悪条件を乗り越えることで、本来持っていた動物的でフィジカルなパワーに目覚めていきました。この作品はほとんど順撮りなので、映像でも彼女が肉体的にタフになっていく姿がしっかりと確認できると思います」

 女性が自らの尊厳のために戦う姿は、奇しくも昨今の映画界で大きな問題となっている「#MeToo」の運動とも重なる。女性監督として、この流れをどう見ているのか。

      

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