視聴者に近い竹内涼真の存在に注目 二宮和也主演『ブラックペアン』医療界の課題を浮き彫りに

『ブラックペアン』医療界の問題描く

 ところで今回のエピソードでも、先週に続いて研修医の世良雅志(竹内涼真)の存在にフォーカスが当てられて物語が運ばれた。縫合の練習を積みながら「すべては練習の中にある」と、サッカーの神様・ペレの言葉を引用し、「手術は博打」という渡海の言葉に怯え外科医を辞めようとも考える努力と葛藤のキャラクターは、決して身近とはいえない医療ドラマにおいて重要な、視聴者に最も近いキャラクターといえよう。

 そんな彼の葛藤を前に、高階がかける「ひとりも殺していない君が外科医をやめるのか?」と「無責任ではないか」という言葉。未来ある外科医が減ることで、未来に救われるはずだった命を殺すかもしれないという高階の考え方に対し、渡海の持論は正反対にも「未来で殺すはずだった患者を助ける」と表現されていく。

 “理想”によって未来を思い描くタイプの高階と、“現実”を見据えて今そこにいる患者を助けることにしか興味のない渡海。これまで多くの医療ドラマで幾度となく描かれてきた“医者に未来はあっても、患者には今しかない”というテーマが、このドラマにおいては一種のジレンマのように作用していくことだろう。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
日曜劇場『ブラックペアン』
TBS系にて、毎週日曜 21:00~21:54放送
原作:海堂尊『新装版 ブラックペアン1988』(講談社文庫)
脚本:丑尾健太郎
プロデューサー:伊與田英徳、川嶋龍太郎、峠田浩
演出:福澤克雄、田中健太、渡瀬暁彦
出演:二宮和也、竹内涼真、葵わかな、倍賞美津子、加藤綾子、加藤浩次、市川猿之助、小泉孝太郎、内野聖陽
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/blackpean_tbs/

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