太田光が監督を務めるのは必然だった? 草なぎ剛主演の監督第2作『光へ、航る』への期待

太田光『光へ、航る』の監督は必然だった?

 しかし、年上ばかりの現場、しかも超短期間での撮影ということで、自身が納得できなかったラストシーンにOKを出したことが心残りだったと太田は度々語っている。最終日に現場に訪れた森田は、太田の意を汲むように「なにこれ? 馬鹿なの? 太田くんがやりたいことじゃないよね?」と一回り以上も年上のスタッフたちに容赦ない言葉をかけたという。それでも、太田は一生懸命頑張ったスタッフたちの思いを優先し、撮り直しはしなかったそうだ(『JUNK 爆笑問題カーボーイ』参照)。

 初監督から27年、年齢も立場も大きく変わり、満を持しての第2作目となる『光へ、航る』。脚本段階でスタッフと“衝突”した箇所もあったそうだが、自身の納得できる映像を今回は撮ることができたそうだ。「こっちがほしい画だったり、音楽を具体的に言っているわけではないのに、イメージ通りに汲み取ってくれる」(『JUNK 爆笑問題カーボーイ』3月13日放送)と太田は語っていたが、特に助監督を務めた山口義高(『デメキン』監督)、撮影の瀧本幹也(『海街diary』)の働きが大きかったという。そうそうたるスタッフが揃った27年前と同様、名スタッフに支えられる資質が監督・太田光にはあるのかもしれない。

 太田プロから独立し、タイタンを立ち上げ、独自の道を切り拓いてきた太田と、新しい歩みを始めた「新しい地図」の3人。どこか共通点を感じる両者が生み出した本作が、多くの人々に届くことを期待したい。

(文=ベイスターズ大好きタツヤ)

■公開情報
『クソ野郎と美しき世界』
4月6日(金)2週間限定全国公開
出演:浅野忠信、満島真之介、馬場ふみか、でんでん、神楽坂恵、野崎萌香、冨手麻妙、スプツニ子!、稲垣吾郎/中島セナ、古舘寛治、香取慎吾/尾野真千子、新井浩文、健太郎、草なぎ剛/クソ野郎★ALL STARS
監督:園子温/山内ケンジ/太田光/児玉裕一
企画:多田琢、山崎隆明、権八成裕
製作・宣伝:新しい地図
制作:ギークサイト
配給協力:キノフィルムズ
(c)2018 ATARASHIICHIZU MOVIE
公式サイト:kusoyaro.net

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